シックスシグマ 【Six Sigma】

概要

シックスシグマ(Six Sigma)とは、主に製造業の品質管理などに用いられる管理手法の一つで、数値の測定や統計的な分析を重視する方式。1980年代に米通信機器大手のモトローラ(Motorola)社(当時)が提唱した手法で、米ゼネラル・エレクトリック(GE:General Electric)社が発展・普及に努めたことでよく知られる。

名称に含まれる「シグマ」(σ)は統計学における標準偏差(平均との差の二乗の総和の平方根)を表す記号のことである。誤差を伴う事象が正規分布に従って分布する場合、平均値から±σの範囲に約68.26%、±2σの範囲に約95.44%の標本が収まる。具体的な分布の形に依らず、σで表された範囲に収まる標本の割合は決まっている。

ある作業を行う場合に、結果が平均から一定以上外れたものは不良であるとする。ある工程で作業結果の分布を調べたところ、正常と判定される上限のラインが+σの位置に、下限のラインが-σの位置に来たとすると、約68%が正常、約32%が不良となる。工程を改善して上限・下限が±2σの位置に来るよう分布を狭めることができれば、約95%が正常、約5%が不良となる。

「シックスシグマ」は工程の改善を繰り返して正常な範囲が±6σに収まるようにすることを目指している。ただし、長期的に繰り返される工程では平均自体の変動が1.5σ程度存在するという前提に立つため、実際には±4.5σの範囲に収めることを目指す。これは不良率では「100万回あたり3.4回」となる。

シックスシグマの改善プロセスは、「測定」(Measurement)、「分析」(Analysis)、「改善」(Improvement)、「管理」(Control)の4つの過程で構成され、これを循環的に繰り返し漸進的に改善を進める。この4つのプロセスの頭文字を合わせて「MAIC」の標語で表される。

このプロセスは製造工程など着目すべき数値があらかじめ決まっている場合に適用されるが、様々な経営課題に応用する場合は、測定すべき項目を検討・決定する「定義」(Definition)の過程が必要となる。これを追加した5つの過程を「DMAIC」と表す。

(2023.9.19更新)

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試験出題履歴

ITパスポート試験 : 平24春 問24
この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
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