モックアップ 【mock-up】 モック / mock

概要

モックアップ(mock-up)とは、工業製品の設計・デザイン段階で試作される、外見を実物そっくりに似せて作られた実物大の模型のこと。ソフトウェアやWebサイト、印刷物などのデザインを確認するための試作品のこともこのように呼ばれることがある。

工業製品のモックアップは製品の外観や構造、部品間の干渉などを確認・評価するために作られるもので、実際の素材が金属であっても安価で加工の容易な木材やプラスチック、板紙などで作られる場合もある。

形状やサイズを確認する段階で制作されるものは塗装などは省略されるが、デザインの最終段階で検証を行う場合や営業や販売促進のためのサンプルとして製造されるものは本物そっくりに塗装や装飾などが行われる(逆に内部構造などは省略される)。

Webサイトやアプリのモックアップ

モックアップのイメージ画像

スマートフォンアプリなどのソフトウェアやWebサイト、Webアプリケーションなどの場合、完成後に実際に表示される状態を模した実物そっくりの画像や画面、Webページなどのことをモックアップという。

一方、ページやサイトの構成や遷移関係、ページ内のレイアウトなどを大雑把に示した簡易な図面のことは「ワイヤーフレーム」(wireframe)、実際に操作して動作を確認できる部分的な試作品を「プロトタイプ」(prototype)という。一般的にはワイヤーフレーム、モックアップ、プロトタイプの順に設計と試作を進め、実物の開発・製作に入る。

デジタルモックアップ (DMU:Digital Mock-Up)

工業製品や建築物の製図データなどから外観や構造などを3次元コンピュータグラフィックス(3DCG)として作成し、画面上に映し出す手法を「デジタルモックアップ」(DMU:Digital Mock-Up)という。

モックアップを3Dモデルとして表現する手法で、物理的なモックアップでは手間のかかる彩色や細部の意匠の変更などが短期間でできたり、可動部の動きや内部構造などを実物を制作する前に仮想的に再現して確認できる。

サイズや素材、機構の複雑さなどから実際のモックアップの作成に多額のコストや長い期間が必要な工業製品の場合には、DMUによってコスト低減や試作工程の期間短縮、試作回数の増加などが見込める。モックアップとDMUを併用し、DMUでの検証後に最終段階としてモックアップを作成する場合もある。

DMUを作成・評価する専門のソフトウェアをDMUツールという。設計工程で使われるCADシステムと連携したり、利用者を模した人体模型により使用時の操作性や視認性などを確認したり、組み立てや修理などの作業のしやすさを調べるといった高度な機能を提供する製品もある。

(2022.9.28更新)

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この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
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