欠損値【missing data】欠測値/欠落値
概要

具体的には、一定周期で観測値を記録するシステムにおいて通信エラーなどでデータが途切れた時間帯がある場合や、調査で回答者が特定の質問を無記入のまま提出した場合などが該当する。
観測においては装置の不具合や操作ミスによって測定値そのものが得られなかった状態を指すことが多い。表計算ソフトやデータベースでは空欄として扱われるほか、「Null」「None」、数値ではないことを示す「NaN」といった識別子で表現されることもある。
欠損値は、値自体は存在するものの全体の傾向から大きく外れている「外れ値」や、装置の故障や記録ミスなどによって不正確な値が記録された「異常値」とは区別される。外れ値や異常値は何らかの値が記録されているのに対し、欠損値はそもそも値が存在しない状態である。欠損値を通常の数値やゼロ、空文字として処理すると、計算エラーやプログラムの異常終了を引き起こす原因となるため、処理の前段階で欠損値の有無を正しく検出する必要がある。
欠損値の発生パターンには、欠損が完全にランダムに生じる場合と、何らかの条件や規則性に従って生じる場合がある。発生原因には機器の故障や通信エラー、人為的な入力漏れ、回答拒否などがあり、欠損が偶然に発生したのか特定の条件を持つデータに偏って発生したのかによって、分析への影響は異なる。このためデータの前処理では、欠損値の有無だけでなくその発生状況や分布の確認も行われる。
観測データにおける欠損は、分析時に該当する観測値を機械的に除外して処理されることが多い。一方、調査データでは任意回答の設問が複数存在する場合、全ての項目に回答が揃っているサンプルが十分な数集まらないことがある。このような場合には、欠損が多い項目を分析対象から除外する方法のほか、平均値や中央値、最頻値などの代表値で穴埋めする方法、時系列データであれば前後の値から補間する方法、他の変数の値が似ているサンプルの情報から推定して埋める方法などが用いられる。複数の推定値を用いて欠損を補う「多重代入法」も利用されている。