分散 【variance】 distibution

概要

分散(variance)とは、分かれて散らばること。確率・統計の分野では、データの散らばり具合を分散という。IT分野では処理やデータを複数の機器などで分担することを分散処理分散システムなどという。

統計学の分散

統計学では、あるデータ群のそれぞれのについて平均値との差を取って二乗し、その合計をデータの数で割って平均した(二乗平均)を分散(variance)という。データ群が平均に対してどのくらい散らばっているかを表す指標として用いられる。

例えば、{10,20,30} という3つの標本の分散は平均値20を用いて {(10-20)2+(20-20)2+(30-20)2}/3 と表すことができ、約66.7となる。{0,20,40} であれば約266.7となり、すべて平均に等しい {20,20,20} ならば分散は0となる。

分散は算出過程でを二乗しており元のとは次元が異なるが、分散の正の二乗根を取って次元を揃えたを散らばりの指標として用いることがある。これを「標準偏差」(SDStandard Deviation)と呼び、元のと同じ尺度で散らばり具合を評価することができる。

分散処理

IT分野では、一つの処理やデータ群に対して複数の機器を動員し、分担して処理する方式を「分散処理」(distributed processing)、「分散システム」(distributed system)、「分散コンピューティング」(distributed computing)などという。

このうち、処理の前後関係に従って異なる機能の機器を連結し、それぞれが特定の工程に専念する方式を「垂直分散システム」、同じ機能の機器を並べて処理を振り分け、並行に処理する方式を「水平分散システム」という。一般には後者を指して単に分散システムと呼ぶことが多い。

(2023.9.24更新)

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この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
1997年8月より「IT用語辞典 e-Words」を執筆・編集しています。累計公開記事数は1万ページ以上、累計サイト訪問者数は1億人以上です。学術論文や官公庁の資料などへも多数の記事が引用・参照されています。
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