ポアソン分布【Poisson distribution】
概要

例えば、ある県に台風が年平均4回上陸する場合、毎年必ず4回上陸するわけではなく、0回の年も5回の年もある。こうした発生回数の確率的なばらつきを表すのがポアソン分布である。1時間にコールセンターへかかってくる電話の件数、Webサイトへの単位時間あたりのアクセス数、製品ロット中の不良品の個数などがこの分布に従う。
この分布が成立するには、各事象が互いに影響せず独立に発生し、平均的な発生率が一定であることが前提となる。また、対象とする時間や空間をどれだけ細かく分割しても、同時に複数の事象が重なって発生しないとみなせることも必要である。
ポアソン分布は単位時間・単位空間あたりの平均発生回数を表すパラメータλ(ラムダ)のみで形が決まる。k回発生する確率は自然対数の底e(ネイピア数)を用いて P(k) = e-λλk/k! (!は階乗)という式で表される。λの前後で確率が最も高く、そこから離れるにつれて急激に低くなる山型の分布となる。λが小さいときは非対称な右裾の形をとるが、λが大きくなるにつれて左右対称な形に近づく。また、平均と分散がともにλで等しくなる性質を持つ。
IT分野では、ネットワークへのパケット到着数の予測、サーバへのリクエスト数の分析、待ち行列理論、ソフトウェアのバグ件数の推定などに応用される。λさえ既知であれば、一定期間内に事象が発生しない確率や特定回数以上発生する確率を算出できるため、必要な性能や容量の見積もる際の判断基準として用いることができる。
この分布は19世紀前半、フランスの数学者シメオン・ドニ・ポアソン(Siméon Denis Poisson)が二項分布の極限として導き出した。当初は裁判における誤審確率の分析を目的としていたが、後に馬に蹴られて死亡した兵士の統計など、現実の多様な希少現象への適合が示され、統計学の基礎的な分布として定着した。