LPDDR【Low Power DDR】LPDDR SDRAM
概要

DDR SDRAMは主にデスクトップパソコンやサーバのメインメモリとして用いられる規格であり、LPDDRはこれをモバイル機器向けに設計し直したものである。動作電圧を引き下げ、待機時やアイドル時の消費電力を抑えるための機能を多数備えており、性能と省電力性の両立を図っている。
初代LPDDR(LPDDR1)は2003年に策定された。DDR SDRAMの動作電圧2.5Vを1.8Vに引き下げたほか、メモリセルのデータ保持に必要なリフレッシュ動作を効率化している。温度に応じてリフレッシュ間隔を自動調整する機能や、データ保持が不要なセルのリフレッシュを抑制する機能を備える。待機時にデータ保持を放棄して消費電力を極限まで抑える「ディープパワーダウン」(DPD:Deep Power Down)モードも実装されている。
その後、LPDDR2、LPDDR3、LPDDR4、LPDDR4X、LPDDR5、LPDDR5Xと世代を重ねるごとにデータ転送速度の向上と低電圧化が進められてきた。各世代はJEDEC(米国の半導体標準化団体)が策定しており、対応するDDR世代の仕様を基盤としながらモバイル向けに電圧やリフレッシュ制御を最適化している。LPDDR5以降では高速化に加えて電力制御や信号品質が改善され、高解像度動画やAI処理など大容量データを扱う用途にも適している。
LPDDRは通常のDDR SDRAMとは実装形態も異なる。DDR SDRAMではメモリチップを実装したメモリモジュールをマザーボードのメモリスロットに差し込むが、LPDDRではメモリチップを基板に直接はんだ付けする実装方式が主流である。後から交換や増設はできないが、配線距離が短縮できるため高速動作と省電力化を実現しやすい。SoC(System-on-Chip)の一部として積層する「PoP」(Package-on-Package)構成や同一パッケージ内に収める「SiP」(System-in-Package)構成も採用されており、小型化が求められる携帯機器に適している。