ソフトエラー 【soft error】
概要
ソフトエラー(soft error)とは、半導体チップ内部の回路が何らかの理由により一時的な誤作動を起こし、記録された内容が破壊されること。装置そのものの損傷に起因する「ハードエラー」と異なり、データの再書き込みなどによりすぐに元の状態に戻る。ソフトエラーの原因として有力なのは自然放射線で、チップを製造する材料として用いられる物質の一部に天然の放射性同位体が混入しており、その崩壊に伴って内部の回路にアルファ線が照射されることで記憶が破壊されることが知られている。近年では半導体の集積度が上がり、回路が外部要因で撹乱されやすくなっており、地上に到達する宇宙線に含まれる中性子によって記憶が乱される現象が無視できない頻度で起こっているとされる。
ソフトエラーはハードウェアの物理的な損傷が伴わず再度同じ動作を行うと正常に動作する場合が多いため、誤作動に再現性がなく、原因を(ソフトエラーのせいだと)特定し対策するのは難しい。原因不明の一過性の謎の誤作動とされる事象の中にはソフトエラーに起因するものも含まれる可能性がある。
ソフトエラーの生起頻度や影響範囲は極めて小さいため、メモリチップなどに誤り訂正符号(ECC:Error Correcting Code)による自動的なデータの誤り検知や訂正の機能を持たせればかなりの程度対処できるものと考えられているが、コンピュータ向けのメインメモリ(RAM)でECC付きのものはサーバ向けなど高価な一部製品に限られているのが現状である。
(2018.8.16更新)