GDDR 【Graphics DDR】
概要
GDDR(Graphics DDR)とは、ビデオカードに搭載するための専用のRAMとして特別に設計されたDDRメモリの規格。メインメモリに使われる通常のDDRメモリに比べてクロック周波数が高く、発熱量も小さく抑えられている。ビデオカードは画面を高速で描き変えるために、カード上に搭載されたVRAM(ビデオメモリ)に保存された連続した画面イメージを非常に頻繁に読み書きする必要がある。また、3DCGの演算や表示処理を行うために、VRAM中のバッファに高速でアクセスできる必要がある。
さらに、ビデオカードはマザーボードの拡張スロットなどに差し込んで使用するため放熱がしにくく、空間的な制約からあまり大きな放熱ファンを搭載することもできない。このような要件を満たすために特別に設計されたのがGDDRである。
メインメモリ用の通常のDDR SDRAMシリーズの規格に比べ、高い動作周波数で駆動できるようになっており、バス幅も広い。メモリ上の連続したデータを少ないクロック数で一気に読み出し・書き込みできるようメモリのアドレス空間に工夫がされており、動作の高速化が図られている。
反面、信号の伝送遅延やタイミングなどに関する要件が厳しく、メモリチップをGPUの近傍に直に実装し、短い配線でダイレクトに繋ぐ実装方式が要求される。パソコンのメインメモリのようにモジュール化してCPUから離れた位置にコネクタで差し込むような実装形態にはできない。メモリの増設や交換を想定しなくてよい家庭用ゲーム機の中には、高速化のためにGDDRチップをメインメモリとして基板に直に実装した例がある。
GDDRには最初の規格(「GDDR1」「DDR SGRAM」とも呼ばれる)から動作周波数や消費電力などの性能を高めたGDDR2、GDDR3、GDDR4、GDDR5、GDDR5X、GDDR6、GDDR6Xなどの各世代の規格があり、これらを総称してGDDRという呼称を用いることもある。
(2022.5.24更新)