メモリモジュール【memory module】RAMモジュール

別名  :メモリボード/増設メモリ/拡張メモリ

概要

メモリモジュールとは、複数の半導体メモリチップを実装して配線し、外部に接続するための端子を設けた小さな電子基板コンピュータの主基板(マザーボード)などにある専用の差込口(メモリソケット/メモリスロット)に挿入して、メインメモリなどとして使用する。

コンピュータにはCPUが直接読み書きできる高速な記憶装置であるメインメモリが必要であり、現代では半導体メモリの「RAM」(厳密にはその一種であるDRAM)を用いる。パソコンサーバなどではメモリモジュールにメモリチップを実装し、モジュール単位でマザーボードに差し込んで使用する。

かつてはマザーボード上に直にメモリチップを実装するのが一般的だったが、メモリモジュールの登場により、製品の構成を柔軟に変化させたり、メモリだけを後から交換・増設できるようになった。現在でも、スマートフォンのように筐体サイズなどに何らかの制約がある場合には、基板上にメモリチップを直に実装する場合がある。

メモリモジュールの形状

一般的なメモリモジュールは短辺が数cm、長辺が十数cmの細長い長方形で、一方の長辺の全体が、数十から百数十の金属端子が並んだエッジコネクタとなっている。基板上には同容量のDRAMチップが8個、16個、32個などの数だけ実装され、周囲に配線や制御回路などが並んでいる。短辺側に小さな切り欠き(凹み)がある製品もあり、マザーボード側のスロットの両脇にあるレバーを挿入後に引っ掛けて、接触不良や脱落を防止することができる。

かつては金属端子がモジュールの両面に渡って実装されている「SIMM」(Single Inline Memory Module」)型が一般的で、これは表側も裏側も同じ端子である。時代が下ると伝送速度向上の要請から接点を増やす必要に迫られ、同じ位置の表と裏が異なる端子となっている「DIMM」(Dual Inline Memory Module)型の製品がほとんどとなった。ノートパソコンなどでは小型のDIMMである「SO-DIMM」(Small Outline DIMM)型が用いられる。

メモリモジュールの種類

DRAMには「DDR4 SDRAM」「DDR5 SDRAM」など様々な規格があり、規格の種類や世代によって伝送方式や信号の仕様などが異なる。誤挿入を防ぐため、モジュールの端子数や形状(切り欠きの位置など)もDRAM規格ごとにそれぞれ微妙に異なっている。原則としては無理なく挿入することができるスロットとモジュールの組み合わせならば使用できるが、稀に例外もある。

パソコン向けの一般的なマザーボード製品には、同じ規格・形状のメモリスロットが1~8個程度並んでおり、対応規格のモジュールを必要な数だけ挿入して使用する。同じモジュール規格でも容量(4GB/8GB/16GBなど)や最高伝送速度が異なる製品があり、自分で手配・増設する場合はマザーボード側が対応しているか注意を要する。

マザーボード上に偶数個のメモリスロットがある場合、機種によっては同規格かつ同容量のモジュールを2枚セットで差し込むことで、これを一体的に運用して並列にデータを読み書きし、伝送速度を向上させることができる場合がある。この高速化手法を「メモリインターリーブ」(memory interleaving)という。

(2025.11.10更新)

他の用語辞典による「メモリモジュール」の解説 (外部サイト)

資格試験などの「メモリモジュール」の出題履歴

▼ ITパスポート試験
平28秋 問84】 メモリモジュールを装着するための、PC基板上の差込み口はどれか。
▼ 基本情報技術者試験
平26春 問11】 メモリモジュールのパリティチェックの目的として,適切なものはどれか。
この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
1997年8月より「IT用語辞典 e-Words」を執筆・編集しています。累計公開記事数は1万ページ以上、累計サイト訪問者数は1億人以上です。学術論文や官公庁の資料などへも多数の記事が引用・参照されています。