網膜認証 【retinal authentication】

概要

網膜認証(retinal authentication)とは、人体の固有の特徴を利用して本人確認を生体認証(バイオメトリクス認証)の一種で、眼球の奥にある網膜の静脈パターンを利用する方式。

眼球の最も奥には網膜という膜状の組織があり、外から差し込む光の刺激を電気信号に変換して脳に繋がる視神経に伝達する働きをしている。網膜には毛細血管が張り巡らされており、その形状のパターンは一人ひとり異なっており生涯変わることがない。

網膜認証はこの網膜の微細な静脈の形状をセンサーで読み取って登録済みのパターンと照合する認証方式で、眼球に外から微弱な近赤外線を照射して、その反射を読み取る。網膜は目の奥にあり、光学画像を使わないため偽装がしにくいという利点があるが、装置が大掛かり、センサーを目に近接させなければならない、白内障患者などは利用できないなどの難点もある。

同じ眼球の特徴を用いる生体認証方式に「虹彩認証」(iris authentication)がある。これは瞳孔の外側にある虹彩と呼ばれる環状の部分のパターンをカメラで読み取る方式で、撮影が容易で実装しやすい利点があるが、実装方式や運用方式によっては本人の眼球の写った高解像度の画像で偽装できてしまう場合もある。

(2023.7.5更新)
この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
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