虹彩認証 【iris recognition】 アイリス認証 / 虹彩認識
眼球には瞳孔の外側に虹彩(iris)と呼ばれる環状の部分があり、瞳孔を開いたり絞ったりする筋肉がある。胎児の頃に眼球が形成される過程で皺が寄り、2~3歳で成長が止まり以後は生涯に渡って変化しないことが知られている。皺の形状は遺伝とは無関係にランダムに決まるため一卵性双生児でも異なる模様になる。
虹彩認証ではカメラで目を撮影し、虹彩部分の像から画像処理や数学的な計算を行って固有のパターンを抽出し、あらかじめ登録してある本人のパターンを照合して本人確認を行う。撮影は少し離れた場所(実用上は数メートル程度)からでも可能なため、衛生的で心理的な負担が少ない。人によっては虹彩がまぶたなどで隠れないように目を大きく見開かなければならない場合もある。
指紋のように身体表面のパターンではないため摩耗などで変化・消失することもなく、触れたものに残った跡から複製することもできない。顔などに比べ成長や老化、体調や体型の変化などの影響もなく、意図的に変形や切除などすることもできないため、長期間安定的に利用できる。
現在実用化されている照合方式は様々な生体認証の中でも飛び抜けて認識精度が高いことが知られ、別人を本人と取り違える誤判定が起きた事例は未だに確認されていない。
ただし、画像に写った虹彩が本当に生体の一部であるかどうかの確認が難しく、他人の虹彩の画像を高解像度で印刷したものをセンサーに提示することで認証を突破できてしまうシステムがあることが知られている。このため、主に撮影状況に人が立ち会える用途で使用されており、無人化された自動入退室管理システムなどには向かない。
虹彩認証は出入国管理や住民登録、病院の患者識別システム、学校の出席管理システムなどに採用例がある。カメラがあれば特殊な機材は不要なため、スマートフォンのカメラと連動した利用者認証システムに用いられたこともある。