X.500 【X.500 series recommendations】 X.500シリーズ勧告
概要
X.500(X.500 series recommendations)とは、ITU-Tが定めた、ネットワーク上での分散ディレクトリサービスに関する規格。ネットワーク上の情報資源を単一のツリー構造のデータベースに格納し、一意な名前によって識別・参照する方法を定めている。ディレクトリサービスを構成するためのデータモデルや通信プロトコル、認証方式などを定義しており、LDAP(Lightweight Directory Access Protocol)の元になったDAP(Directory Access Protocol)や、DSP(Directory System Protocol)、DISP(Directory Information Shadowing Protocol)など様々なプロトコル群が定義されている。
いわゆるOSI(Open Systems Interconnect)規格群の一貫としてITU-Tによって策定され、最初の規格は1988年に勧告された。X.500からX.530まで複数の規格で構成されており、全体を指す場合は「X.500シリーズ勧告」と呼ぶ。ISO/IECも同様の規格をISO/IEC 9594として標準化している。
データ伝送などはOSI規格のプロトコル群を使用することが想定され、TCP/IPにおける利用は特に考慮されていない。X.500シリーズ標準のほとんどはTCP/IPネットワークの台頭によって他のOSI規格群と同様に顧みられなくなったが、認証方式を定めたX.509だけはIP系の技術も含め様々な規格やシステムで現代でも用いられている。
(2023.4.23更新)