パスワードクラック 【password crack】 パスワードクラッキング / password cracking

概要

パスワードクラック(password crack)とは、コンピュータ利用者が本人確認に用いる秘密の文字列(パスワード)を探り当てること。得られたパスワードにより本人になりすましてコンピュータを利用し、不正に操作することができるようになる。

最も単純で原始的な手法は「総当たり攻撃」(brute force attackブルートフォース攻撃)で、考えられるありとあらゆる文字の組み合わせを試す方式である。短くて単純(文字の種類が少ない)場合には有効な手法で、例えば数字4桁の暗証番号は「0000」から「9999」までの1万通りであるため、コンピュータで自動的に繰り返し試行できる環境ならばすぐに割り出すことができる。

辞書攻撃・類推攻撃

覚えやすく入力しやすいパスワードにしたいという人間心理の隙をついて効率的にパスワード探索する手法もある。一般的な単語やよくある人名や地名、およびそれらの組み合わせを探索する「辞書攻撃」(dictionary attack)や、ターゲット本人に関連する情報(誕生日、住所、電話番号、家族の名前など)や単純な文字列(「12345」「abcde」など)を組み合わせたり一部を改変して探索する「類推攻撃」などがよく知られる。

パスワードリスト攻撃

複数のシステムサービスで別々のパスワードを設定してそれぞれ覚えるのは億劫であるため、多くの人がパスワードの「使い回し」をしている。これを利用した攻撃手法が「パスワードリスト攻撃」で、あるサービスから不正アクセスなどで流出したIDパスワードの組を用いて他のサービスへのログインを試み、パスワードを使いまわしている利用者アカウントを乗っ取る。

パスワードのハッシュ化

認証システムなどではユーザー情報を保存する際、不正に盗み出されてもパスワードが露見しないよう、パスワードハッシュ化してハッシュ値のみを保存する。ログイン時に入力されたパスワードとの照合はハッシュ値の比較のみで可能な一方、攻撃で流出しても元のパスワードは分からない。ただし、ハッシュ関数の強度が低い場合には総当たり法で短時間に逆算できてしまう場合があり、パスワードが割り出されてしまう。

(2024.1.11更新)

他の辞典による解説 (外部サイト)

この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
1997年8月より「IT用語辞典 e-Words」を執筆・編集しています。累計公開記事数は1万ページ以上、累計サイト訪問者数は1億人以上です。学術論文や官公庁の資料などへも多数の記事が引用・参照されています。
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