MACアドレス認証【MAC address authentication】
概要

NIC(LANカード)や無線LAN(Wi-Fi)インターフェースなどのネットワーク通信装置には、製造段階で一意の48ビットの識別番号である「MACアドレス」が割り当てられている。データリンク層で機能し、LAN上でのデータの送信元や宛先を識別するために用いられる。
MACアドレス認証では、ネットワーク管理者があらかじめ許可する機器のMACアドレスをネットワークスイッチや無線LANアクセスポイントなどに登録しておく。接続を要求してきた機器のMACアドレスをこの登録情報と照合し、一致した場合にのみ通信を許可する。機器全体ではなくポート単位やSSID単位で適用される場合もある。
機器が持つ固有の情報のみで識別を行うため、利用者が接続の度に認証操作を行う必要がない。このため、ディスプレイやキーボードを持たないネットワークプリンタやIoT機器、工場内の製造装置など、手動での認証操作が困難または不便な環境での接続管理に適している。企業内ネットワークや教育機関などでも、簡易な機器管理の手段として利用されることがある。
一方、MACアドレスは通信回線上を暗号化されずに流れるため、通信を傍受すれば読み取ることができ、セキュリティ強度は低いとされる。また、近年では一部のオペレーティングシステム(OS)や機器は製造時に記録されたMACアドレスを使わずに、接続の度にランダムにMACアドレスを変更する「MACアドレスランダマイゼーション」を実施している場合があり、その場合はMACアドレスによる認証は機能しない。
このような事情から、MACアドレス認証を単体で厳格なセキュリティ対策として運用することは少なく、IEEE 802.1XやWPA2/WPA3など、暗号化やユーザー認証を伴う方式と組み合わせて補助的に用いられるか、利便性を優先する特定の環境に限定して導入されるのが一般的である。