FSR 【AMD FidelityFX Super Resolution】
概要
FSR(AMD FidelityFX Super Resolution)とは、米AMD社が提供している動画像の超解像技術。3Dグラフィックスを低解像度でレンダリングし、引き伸ばして広い画面に出力することにより、画質とフレームレートを両立できる。3DCGを多用したゲームなどをプレイする際、画素数の多い大画面のディスプレイに合わせて描画を行うと画質は高まるが、処理の負荷が増大するため動画としてのフレームレート(1秒あたりの画面書き換え回数)は低下するというジレンマがある。
これを緩和するのが動画の解像度を向上させる超解像技術で、低い解像度で描画処理を行い、できた画像を画面サイズに合わせて拡大する。単純に拡大処理を行うと画質が下がるため、補間処理を行って滑らかに引き伸ばす。これにより、低解像度で高フレームレートを維持したまま、大画面に合わせて表示することができる。
FSRでは拡大倍率に応じて「Ultra Quality」「Quality」「Balanced」「Performance」の4段階の出力モードが設けられており、最も低画質のPerformanceモードでは画面サイズの半分の解像度(ディスプレイが4K解像度であればフルHD相当)で描画処理を行う。補完処理によりジャギー(輪郭などに現れるギザギザ)などは目立たなくなるが、静止画としての画質は本来の解像度での描画には敵わない。
FSRは同社のビデオカードの性能を引き出すソフトウェア群「AMD Fidelity FX」の一部として提供されるもので、ゲーム開発者などに向けてオープンソースとして公開されている。同社のRadeonシリーズのGPUや、ライバルである米NVIDIA社のGeForceシリーズなどでも利用できる。NVIDIA社では似た技術として「DLSS」(Deep Learning Super Sampling)を提供している。
(2022.2.1更新)