Firefox
概要
Firefoxとは、米モジラ財団(Mozilla Foundation)が提供しているWebブラウザソフトウェア。オープンソースとして公開されており、誰でも自由に入手、利用、改変、再配布などができる。“fire fox” とはレッサーパンダの異名。日本では俗に「火狐」「狐」等と呼ばれることがある。デスクトップ向けがWindows、macOS(Mac OS X)、Linux向けに、モバイル向け(Firefox for Mobile)Android、iOS向けに開発・提供されている。Google ChromeやMicrosoft Edge、Apple Safariと並んで世界的に広く普及している主要なWebブラウザの一つとなっている。これら主要ブラウザの中では唯一のオープンソースソフトウェア、かつ、提供元が非営利団体(他は企業開発の製品)でもある。
Web標準への対応、活発な更新と機能追加、軽快な動作、占有メモリ容量の少なさなどに定評がある。アドオンや拡張機能(エクステンション)などブラウザの機能を拡張するための仕様が公開されており、様々な開発者が開発したアドオンが公式サイト(AMO:addons.mozilla.org)を通じて入手できる。近年では利用者のプライバシー保護にも力を入れている。
長年、独自開発の「Gecko」(ゲッコー:ヤモリの意)レンダリングエンジンを中核に据えてきたが、2017年の新バージョン「Firefox Quantum」(後に名称は元のFirefoxに戻された)では新たに開発された「Servo」(サーボ)に置き換えられ、動作速度で引き離されていたChromeに遜色ない性能を獲得したとされる。表示・操作感(UI)も刷新され、マルチプロセス(並列処理)への本格対応や古い仕様の拡張機能の廃止など、様々な仕様が刷新されている。
Mozilla Foundationでは、姉妹プロジェクトとしてオープンソースの電子メールクライアント「Mozilla Thunderbird」(モジラ・サンダーバード)も開発・公開している。いずれも歴史が長く、Firefoxと共に愛用している利用者も多い。
歴史
1990年代後半に初の商用Webブラウザ製品を発売し成功を収めた米ネットスケープ・コミュニケーションズ(Netscape Communications)社は米マイクロソフト(Microsoft)社が無償配布し始めたWebブラウザ「Internet Explorer」(インターネット・エクスプローラー)との競争に破れ、そのソフトウェア資産は新設された非営利組織のモジラ・オーガニゼーション(Mozilla Organization/mozilla.org)に移管された。
2002年にmozilla.orgはWebブラウザやメールクライアントなどが統合された総合インターネットクライアントソフト「Mozilla Suite」(モジラスイート、単にMozillaとも呼ばれた)をオープンソースとして配布し始めたが、すぐに各機能を独立したソフトウェアとして個別に開発・配布するよう方針転換することになった。
同年にWebブラウザ部分が独立した「Phoenix」がリリースされたが、この名称は当時著名なBIOSメーカーだった米フェニックス・テクノロジーズ(Phoenix Technologies)社の商標権に抵触することから、2003年に「Firebird」という名称に変更された。しかし、これもすでに普及していたオープンソースのデータベース管理システムの名前と重複していたため、2004年に「Firefox」へ再び改称され、以降はこの名称が使われている。