Internet Explorer 【IE】 インターネットエクスプローラ / MSIE

概要

Internet Explorer(IE)とは、米マイクロソフト(Microsoft)社が開発・提供していたWebブラウザソフトウェア。同社のWindowsシリーズのオペレーティングシステム(OS)に標準で内蔵(バンドル)されていたほか、同社Webサイトなどで配布されており、無償で入手・利用できた。

Windowsにバンドルされたことからパソコン向けのWebブラウザとして広く普及し、2000~2005年頃には9割を超えるほどの圧倒的な市場占有率(シェア)を獲得、Webブラウザにおける事実上の標準とされた。

HTMLJavaScript、XMLなど主要なWeb標準技術へ対応しているが、標準化団体の規格に準拠しない独自の仕様や拡張、実装上の問題や誤り(バグ)なども多く、Internet Explorer用のWebページやWebサービスを他のブラウザ向けと別に開発しなければならない場合も多かった。

同社のインターネット戦略の根幹を担うソフトウェアとして、VBScriptやActiveXコントロール、SilverlightなどInternet Explorerのみで利用できる独自技術や、WindowsシステムやWindows上の別のソフトウェアとの緊密な連携機能なども盛り込まれたが、これらの保安上の弱点(脆弱性)をコンピュータウイルスやワームに悪用され、たびたびセキュリティ上の問題を引き起こしてきた。

歴史

Internet Explorerの最初のバージョンは米スパイグラス(Spyglass)社(当時)の「NCSA Mosaicモザイク」を元に開発され、1995年にWindows 95向けの拡張ソフトウェアパッケージ(Microsoft Plus!)の一部として提供された。

1990年代後半に家庭や企業にインターネットが本格的に普及し始めるとWebブラウザとして米ネットスケープNetscape)社(当時)の「Netscape Navigator」が爆発的に普及し、追い上げるInternet Explorerとの熾烈なシェア争いは「(第1次)ブラウザ戦争」と形容された。

2000年代初頭にNetscapeが駆逐されると支配的なシェアを獲得するが、00年代後半に入るとNetscapeの遺産を受け継ぐ非営利団体Mozilla.org(後のMozilla Foundationモジラ財団)によるオープンソースソフトウェアの「Firefox」、検索大手米グーグル(Google)社による「Google Chrome」が台頭し、「第2次ブラウザ戦争」と呼ばれる競争が始まった。

終焉

2013年のバージョン11を最後に既存製品のセキュリティ修正を除く開発・更新が打ち切られ、新たに開発された「Microsoft Edge」(エッジ)がWindows 10以降の標準のWebブラウザとして提供されることになった。Windows 10にはEdgeの最初のバージョンが同梱されるが、以前との互換性のためInternet Explorer 11も引き続き提供された。

2022年6月16日をもって同社によるサポートが完全終了となり、以降は新たに入手・導入することは公式にはできない。セキュリティ上の欠陥が発見されても修正プログラムの提供は原則として行われなくなるため、早急に利用を停止してEdgeなど現行のWebブラウザへ移行することが強く推奨されている。

(2022.6.16更新)

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この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
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