ダークウェブ 【dark web】 ダークWeb

概要

ダークウェブ(dark web)とは、インターネット上に存在する、特定のソフトウェアや技術を使わなければ接続できない領域で運用・公開されているWebサイトのこと。非合法な活動の温床になっているとされる。

一般的なWebサイトインターネットに接続してWebブラウザアクセスすれば閲覧でき、会員制のサイト認証ログイン)手順が必要になるだけで技術的な条件は同じだが、ダークウェブは接続のために特殊なソフトウェアを導入したり、既存の参加者から招待を受けてネットワークに参加したりする必要がある。

最も有名な例は「Tor」(トーア/The Onion Router)というツールを利用したネットワークである。これはインターネット上の通信を匿名化するために世界中のボランディアが運営する中継拠点を何段階も経由して相手先に接続するシステムで、通常のWebサイトやネットサービスへのアクセスにも使われるが、Tor経由でなければ接続できないよう設定されているサイトが多数存在する。

そのようなサイトWeb検索エンジンなどへ掲載されることもなく発見が難しい上、Torを経由しない通常設定のWebブラウザ等ではそもそも閲覧することさえできない。運営者も閲覧者も互いに高度に秘匿されており、捜査機関であっても身元や接続元などに関する情報を得ることは困難となっている。

ダークウェブはその秘匿性の高さからしばしば非合法な活動に悪用されているとされ、所持や譲渡が規制されている薬物やコンテンツ、銃火器類、盗み取られた個人情報アカウント情報、クレジットカード情報、企業や公的機関の機密情報、未発表のソフトウェア脆弱性、未使用のマルウェア開発キット、ソフトウェア製品の海賊版などが取引されていると言われる。

Tor以外にも、暗号技術などを用いてインターネット内で外部から隔絶された小規模なネットワークを形成するソフトウェアが多数存在し、各ネットワーク内でダークウェブが運用されている。近年では仮想通貨の普及により支払いの匿名性を高めることが可能となり、以前にも増して取引が活発化しているとの指摘もある。

ディープウェブ/闇サイトとの違い

似た用語に「ディープウェブ」(深層Web)があるが、これは一般的な検索エンジンなどが到達し得ない場所にあるWebコンテンツ群のことで、閲覧にログインを要求するサイトや、Webページ上のリンクを辿っても到達できない情報(表示手段がフリーワード検索しか無いなど)が該当する。その多くは単に一般に非公開なだけで非合法活動と関連があるわけではない。

また、日本語で「闇サイト」という場合は、犯罪の共犯者を募集するなど非合法な目的のために設置あるいは利用されている電子掲示板BBS)などのWebサイトのことを指し、それが技術的な意味でのダークウェブに存在するとは限らない。実際のところ、報道されているような事例の多くはダークウェブではなく通常の方法でアクセス可能なサイトばかりである。

(2021.9.14更新)

他の辞典による解説 (外部サイト)

この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
1997年8月より「IT用語辞典 e-Words」を執筆・編集しています。累計公開記事数は1万ページ以上、累計サイト訪問者数は1億人以上です。学術論文や官公庁の資料などへも多数の記事が引用・参照されています。
ホーム画面への追加方法
1.ブラウザの 共有ボタンのアイコン 共有ボタンをタップ
2.メニューの「ホーム画面に追加」をタップ
閉じる