リフト&シフト 【lift and shift】
概要
リフト&シフト(lift and shift)とは、企業などの情報システムをクラウドへ移行するクラウドマイグレーション(クラウド移行)の手法の一つで、既存システムをそのままクラウドに持ち込み、基本的には手を加えずにそのまま利用する方式。一般的な手順では、まず社内サーバ(オンプレミス環境)で運用されている既存システムについて、アプリケーションやデータなどにはなるべく手を付けず、サーバやオペレーティングシステム(OS)といった動作環境を仮想化環境へ移行する。
次に、移転しやすく実業務に影響が小さいシステムを、同じ仮想化環境で構築されたクラウドサービス上に移転し、移行手順やクラウド上での運用についての知見やノウハウの習得、課題の洗い出し、問題点の解消などを行う。
小規模なトライアルから得られた知見を元に、全体の移行計画を立てて既存システム全体のクラウド上への移行を実施する。利用者にとっては、アプリケーションの構成や操作感などはほとんど変わらず、既存システムの動作環境が変わっただけの状態に近い。
クラウド移行とシステムの更新、再開発、入れ替え、乗り換え等を同時に行う他の手法に比べ、既存資産を最大限に活かすことができ、業務への影響を抑えながら移行を進めることができるが、移行後のシステムはオンプレミスを前提にした設計のままとなるため、クラウドのメリットを享受しにくい場合がある。
なお、日本では英語圏での本来の意味とは異なり、クラウド環境への移行後にクラウドならではの機能の導入やクラウドネイティブなアプリケーションへの作り替えなど、クラウド利用を前提とした最適化を漸進的に進める手法を指すことがある。本来は誤用だが、この意味で捉えている人が多いため、この用語を用いる際には意図の周知や確認を行ったほうがよい。
(2023.9.6更新)