コミュニティクラウド【community cloud】
概要
コミュニティクラウドとは、業種や事業内容が共通する複数の企業や機関が共同で構築・運用するクラウドコンピューティング環境。施設や機材、人員を共用することでコストを抑えつつ、パブリッククラウドにはない業界固有の運用基準やセキュリティ要件を維持できる。

参加組織がネットワーク経由で共同のクラウド基盤にアクセスし、計算資源やストレージ、業務アプリケーションなどを利用する。運用主体としては、業界団体や複数企業のコンソーシアムが共同運用組織や合弁会社を設ける例が多い。
各組織が個別に環境を構築する「プライベートクラウド」(private cloud)と比べると、設備投資や運用要員を共通化できるためコスト効率を高めやすく、稼働率の平準化も図りやすい。同一業界の組織が参加する場合、業界固有の法規制や業務慣行に沿った情報システムを共同開発・共用することも可能であり、個々の組織が重複した開発投資を行う無駄を省ける。
不特定多数の利用者に提供される「パブリッククラウド」(public cloud) と比べると、セキュリティ方針やデータ管理の条件を業界要件に合わせて設計しやすく、金融や医療、行政など規制の厳しい分野での採用に適している。機密データの厳格な管理や独自のガバナンスを維持しながらクラウドの効率性を享受でき、特定の大手クラウド事業者への依存も抑えることができる。認証やアクセス制御、ネットワーク分離などの設計は参加組織の合意に基づいて決定され、監査対応の枠組みを共有基盤上で統一することが多い。
この形態の原型は、地方銀行や自治体、大学などが情報システムの共同利用センターを構築してきた取り組みに求められる。従来は専用線と特定のハードウェアに依存していたが、仮想化技術やネットワーク技術の進展によりクラウド型のデータセンターへと発展した。米国立標準技術研究所(NIST)はクラウドの展開モデルを四種類に分類しており、コミュニティクラウドはパブリッククラウド、プライベートクラウド、ハイブリッドクラウドと並ぶ類型として定義している。
(2026.6.24更新)