エッジコンピューティング 【edge computing】

概要

エッジコンピューティング(edge computing)とは、ネットワークに多数の端末が接続されたシステムにおける処理形態の分類の一つで、端末自身あるいは端末に近い場所にあるサーバが情報の集約や処理などを行う方式。遠隔地のサーバで集中的に処理を行うクラウドコンピューティングと対比される。

主にIoTシステムの実装方式として注目される方式で、制御対象の機器やセンサーなどがネットワークを通じて近隣のサーバに情報を送信し、サーバは処理を行って結果や指示を機器に送り返す。

クラウド方式との違いはサーバの設置場所で、インターネットを通じて遠隔地のデータセンターに繋ぐのではなく、地理的、ネットワーク的に近い施設や設備でサーバを運用する。自動車やスマートフォン、ドローンなど末端が移動体であるシステムでは、端末自身に処理能力を持たせる場合も含まれる。

クラウド方式では端末の数が多い場合にインターネットを通過するトラフィック(通信量)が増加しコスト要因となるが、エッジコンピューティングでは局所的な通信のみで処理を完結させることができる。リアルタイム性が重視される用途では遠隔地との通信に伴う遅延(待ち時間)を抑えられることも利点となる。

一か所の施設や設備に処理を集中させると、そこがシステム障害や災害などで停止するとシステム全体が停止してしまう危険があるが、サーバが分散していれば影響を局所化することができる。サーバやネットワークを私的に敷設した設備の範囲に留めることができれば、インターネットやパブリッククラウドなどの公衆サービスを利用することによるセキュリティリスクも低減される。

(2021.8.31更新)

他の辞典による解説 (外部サイト)

試験出題履歴

ITパスポート試験 : 令5 問71 令3 問86 令1秋 問71
この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
1997年8月より「IT用語辞典 e-Words」を執筆・編集しています。累計公開記事数は1万ページ以上、累計サイト訪問者数は1億人以上です。学術論文や官公庁の資料などへも多数の記事が引用・参照されています。