WebKit
Webページなどを読み込んで、HTMLやCSS、JavaScript、SVGなどの言語で記述された指示を解釈し、画像ファイルなど参照されている外部の資源と組み合わせて画面描画を行うソフトウェア部品である。単体で用いるものではなくアプリケーションソフトに組み込んで使用する。
Web標準への準拠や新規格への素早い対応、軽快な動作には定評があり、対応環境もmacOSをはじめWindows、Linux、iOS、Androidなど幅広い。家庭用ゲーム機やデジタル家電などのWebブラウザ機能の多くもWebKitの移植および組み込みにより実現されている。
主要プログラムの多くはC++言語で開発されており、レイアウトやDOM(Document Object Model)の管理などを行う「WebCore」、JavaScriptの実行を担う「JavaScriptCore」などの部分に分かれている。主要部はLGPLに基づいて、それ以外は修正BSDライセンスに基づいてオープンソースとして公開されている。
歴史
2002年にApple社がMac OS X(当時)標準のWebブラウザである「Safari」(サファリ)のレンダリングエンジンとして開発を始めたもので、UNIX系OS向けのオープンソースWebブラウザ「Konqueror」のHTMLレンダリングエンジン「KHTML」を元に派生(フォーク)した。
2005年には全面的にオープンソース化され、Safariだけでなく同社のiOSや他社製ソフトウェアなどへも広く普及していった。2008年には米グーグル(Google)社も開発に参画し、Webブラウザ「Google Chrome」(クローム)およびオープンソース版の「Chromium」(クロミウム)のレンダリングエンジンとして採用された。
2013年に開発方針を巡ってApple社とGoogle社が対立し、Google社はWebKitの既存コード群から派生した新しいレンダリングエンジン「Blink」(ブリンク)の開発プロジェクトを立ち上げた。ChromeやChromium、Androidなどの同社関連のソフトウェアはBlinkへ移行した。