FOSS【Free and Open Source Software】FLOSS/Free/Libre and Open Source Software
FOSSとは?

一般的な商用ソフトウェア製品では、利用者は完成したプログラムを実行する権利のみを与えられ、内部の仕組みを確認したり改変したりすることは認められない。一方、FOSSではソースコードが公開されていることが多く、利用者や開発者はプログラムの動作を調査し、必要に応じて機能追加や不具合修正を行うことができる。また、改良版を再配布したり自作ソフトウェアに組み込むことができるライセンスが採用されることも多い。
FOSSに含まれるソフトウェアは無償で提供される場合が多いが、「無料」であること自体が本質ではない。無償で利用できてもソースコードが非公開であったり、改変・再配布が認められていなかったりする製品は通常FOSSには含まれない。有償で販売されるものも存在し、単に料金を支払わずに利用できるフリーウェアとは区別される。
この用語は、理念や歴史的背景の異なる二つの潮流を包括している。「フリーソフトウェア」(free software)運動はリチャード・ストールマン(Richard M. Stallman)らが1980年代に提唱し、ソフトウェアの自由を倫理的・社会的な問題として捉え、「利用」「複製」「改変」「再配布」の四つの自由を原則として掲げる。
一方、「オープンソース」(open source)運動は1990年代末にエリック・レイモンド(Eric S. Raymond)らが主導し、ソースコードの公開による品質向上や開発効率の改善といった実利的な側面を重視する。両者は思想的な出発点が異なるものの、実際には同じソフトウェアが両方の定義を満たすことも少なくなく、これらを中立的に総称する表現として「FOSS」という用語が定着した。
FOSSとして流通するソフトウェアには、オペレーティングシステム(OS)、Webサーバ、データベース、プログラム開発ツールなど、現代のIT環境に欠かせない様々なソフトウェアが含まれる。適用されるライセンス(許諾条件)としては、改変版にも同条件での公開を義務付ける「コピーレフト」型(GNU GPLなど)と、著作権表示を条件に商用利用や非公開改変を広く認める「パーミッシブ」型(MITライセンス、Apacheライセンスなど)が代表的である。
なお、“free” という英単語が「無料」と混同されやすいことから、ラテン系言語で「自由」を意味する “libre” (スペイン語:リブレ、フランス語:リーブル)を加えた「FLOSS」(Free/Libre and Open Source Software)という表記も用いられる。特にEUや国際機関の文書など、多言語環境が前提となる文脈で好まれる傾向がある。