Netscape 【ネットスケープ】
概要
Netscape(ネットスケープ)とは、1990年代後半にWebブラウザなどのインターネット関連ソフトウェアを開発・販売していたアメリカ企業(Netscape Communications社)。また、同社の中核製品であるWebブラウザソフトウェア(Netscape Navigator)のこと。Netscape Communications社
インターネットが一般に普及し始めた1990年代後半に創業したベンチャー企業で、初の本格的な商用Webブラウザ製品を中核にインターネット関連ソフトウェアを開発・販売していた。
世界初のグラフィカルなWebブラウザ「Mosaic」(モザイク)を開発したマーク・アンドリーセン(Marc Andreesen)氏を中心とするイリノイ大学のグループが、米シリコングラフィックス(Silicon Graphics)社の創業者として知られるジム・クラーク(Jim Clark)氏と共同で設立した。
同社は最初期のインターネット業界を代表する企業として注目を集めたが、米マイクロソフト(Microsoft)社のWebブラウザ市場への本格参入などにより業績が低迷、1998年にポータルサイトおよびインターネット接続事業大手の米アメリカオンライン(AOL:America Online)社に買収された。
Netscape Navigator/Netscape Communicator
世界で初めて一般に本格的に普及したWebブラウザソフトウェアの一つ。Mosaic開発チームがその経験を活かして新たに開発したWebブラウザ製品で、ベータ版(開発途上版)を専用のWebサイトや雑誌付録などで無償配布するなどの手法で一気に普及し、一時は9割近いシェアを獲得したとされる。
電子メールソフトやNetNewsクライアントなども統合されており、現在でも広く使われるJavaScriptを初めて実装したWebブラウザとしても知られる。バージョン4からは電子メールソフトなどがブラウザから分離され単体の製品となり、それらソフトウェア群を統合したパッケージ製品を「Netscape Communicator」と称した。
1990年代末にかけてMicrosoft社がWebブラウザ開発を本格化させ、「Internet Explorer」をパソコン向けオペレーティングシステム(OS)で支配的なシェアを持つWindowsに組み込んで無償配布したことからシェアが急落し始めた。
1998年にNetscape社は開発方針を転換してNavigatorを含む大半の製品をオープンソースソフトウェアとして無償で公開し、関連資産は新設された非営利団体「Mozilla Foundation」(モジラ財団)に引き継がれた。同財団はNetscapeの資産を元に新たなオープンソースのWebブラウザ「Firefox」を開発・公開し、現在も改良を続けている。