シーザー暗号 【Caesar cipher】 カエサル暗号 / シーザーローテーション

概要

シーザー暗号(Caesar cipher)とは、古代ローマのユリウス・カエサル(Gaius Julius Caesar)が用いたと伝わる、最も単純で有名な暗号方式平文の各文字をアルファベット順で決まった数だけずらす手法。

暗号化したい平文の各文字について、アルファベットの順序(A、B、C…X、Y、Z)に基づいて決まった数だけ移動させたものを暗号文とする。アルファベット列の末端では「Aの手前はZ」「Zの次はA」という規則で循環させる(循環シフト/ローテーション)。

例えば、3文字手前(左に3文字)にずらすシーザー暗号の場合、平文の「CAESAR」を暗号化すると、「C」が「Z」に、「A」が「X」に、「E」が「B」に…という具合にずれていき、「ZXCPXO」という暗号文に置き換えられる。

カエサル自身は各文字を3つ手前にずらしたものを使用したと伝えられており、狭義にはこの方式を指すが、ずらす方向と文字数(「前方に2文字」「後方に4文字」など)を一種の暗号鍵とみなす一般化された手法を指す場合もある。

現代の暗号学では「換字式暗号」の一種である「単一換字式暗号」(単換字式暗号)に分類される。コンピュータを用いれば容易に解読できるため実用的な暗号方式とはみなされないが、現在でも人間による発見や探索を避ける簡易な符丁などとして「ROT13」(右に13字ずらす)などの方式が用いられることがある。

(2020.9.24更新)

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この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
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