ダークネット 【darknet】
ダークネットに含まれるアドレスは使われていないはずなので、本来ダークネットを宛先や発信元とするパケットが流通することはないはずだが、実際には多数のパケットが送受信される様子が観測されており、そのほとんどがコンピュータウイルスや攻撃社の行動などに起因する。
ウイルスに感染したコンピュータが次の感染先を探すためにランダムにIPアドレスを生成すると、現在使われていないはずのアドレスに向かって通信を試みることがある。また、パケットの送信元を存在しないアドレス(あるいはランダムに生成したアドレス)に詐称してDDoS攻撃などが行われると、攻撃を受けたホストから送信される応答パケットの宛先がダークネットになることがある。
中継ネットワークのルータや専用の機器などでダークネットを発着するパケットを捕捉、監視することにより、不正なソフトウェアや攻撃者の活動を把握することができる。各国の政府機関や通信事業者などが協力して、ダークネットを観測するプロジェクトがいくつも実施されている。
ダークウェブとの混同
インターネットを基盤として特殊な技術やソフトウェアを用いて構築されたオーバーレイネットワークを「ダークウェブ」(dark web)と言うが、ダークネットと意味や名前が似ていることから混同し、これを指してダークネットと呼ぶ場合がある。
ダークウェブは接続のために特殊なソフトウェアを導入したり、既存の参加者から招待を受けたりする必要があるクローズドなネットワークで、「Tor」(トーア)という通信を匿名化するソフトウェアで構築されたネットワークがよく知られる。
通信の暗号化や送信元・宛先の秘匿などが行われ、一般的なシステムではダークウェブ内のサイトへは接続できず、中継システムでの検知や遮断も困難なようにできている。様々な種類の非合法な活動の温床となっているとされることから「ダーク」の名を冠して呼ばれる。