ダークネット 【darknet】

概要

ダークネット(darknet)とは、インターネットで到達可能なグローバルIPアドレス空間のうち、どのネットワークコンピュータにも割り当てられていない未使用のアドレス群のこと。

ダークネットに含まれるアドレスは使われていないはずなので、本来ダークネットを宛先や発信元とするパケットが流通することはないはずだが、実際には多数のパケットが送受信される様子が観測されており、そのほとんどがコンピュータウイルスや攻撃社の行動などに起因する。

ウイルスに感染したコンピュータが次の感染先を探すためにランダムにIPアドレスを生成すると、現在使われていないはずのアドレスに向かって通信を試みることがある。また、パケットの送信元を存在しないアドレス(あるいはランダムに生成したアドレス)に詐称してDDoS攻撃などがわれると、攻撃を受けたホストから送信される応答パケットの宛先がダークネットになることがある。

中継ネットワークルータや専用の機器などでダークネットを発着するパケットを捕捉、監視することにより、不正なソフトウェアや攻撃者の活動を把握することができる。各国の政府機関や通信事業者などが協力して、ダークネットを観測するプロジェクトがいくつも実施されている。

ダークウェブとの混同

インターネット基盤として特殊な技術やソフトウェアを用いて構築されたオーバーレイネットワークを「ダークウェブ」(dark web)と言うが、ダークネットと意味や名前が似ていることから混同し、これを指してダークネットと呼ぶ場合がある。

ダークウェブは接続のために特殊なソフトウェアを導入したり、既存の参加者から招待を受けたりする必要があるクローズドなネットワークで、「Tor」(トーア)という通信を匿名化するソフトウェア構築されたネットワークがよく知られる。

通信暗号化や送信元・宛先の秘匿などがわれ、一般的なシステムではダークウェブ内のサイトへは接続できず、中継システムでの検知や遮断も困難なようにできている。様々な種類の非合法な活動の温床となっているとされることから「ダーク」の名を冠して呼ばれる。

(2023.11.19更新)

他の辞典による解説 (外部サイト)

この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
1997年8月より「IT用語辞典 e-Words」を執筆・編集しています。累計公開記事数は1万ページ以上、累計サイト訪問者数は1億人以上です。学術論文や官公庁の資料などへも多数の記事が引用・参照されています。
ホーム画面への追加方法
1.ブラウザの 共有ボタンのアイコン 共有ボタンをタップ
2.メニューの「ホーム画面に追加」をタップ
閉じる