クラッカー 【cracker】
概要
クラッカー(cracker)とは、コンピュータについての高度な知識や技能を悪用し、他者のコンピュータや通信ネットワークに不正に侵入、操作したり、データを不正に取得、改竄、消去したりする者のこと。クラッカーの行う悪事は「クラック」(crack)あるいは「クラッキング」(cracking)と呼ばれ、インターネットなどを通じたコンピュータへの不正アクセスや遠隔操作、コンピュータウイルスなど悪意のあるソフトウェア(マルウェア)の開発や配布、秘密の情報の覗き見や盗み出し、システムの破壊や機能不全状態への追い込み、ソフトウェアやデジタルコンテンツの複製防止技術や利用権限管理技術などの回避や無効化(プロテクト解除/DRM解除)などが含まれる。
クラッカーとして活動する動機は様々で、身につけた知識や技能の腕試しがしたい者、愉快犯的に他人を困らせるのが楽しい者、話題になって承認欲求を満たしたい者、国家や企業などに依頼されてシステム破壊工作や機密情報の持ち出しなどを生業として営む者、ランサムウェアによる身代金要求などで直接的に金銭を得ようとする者などがいるとされる。
ハッカーとの違い
このような者たちを一般には「ハッカー」(hacker)と呼称することが多いが、ハッカーとは元来、高度な技術に精通し、コンピュータシステムやプログラムの内部を解析したり、目的に応じて改造、改良することのできる技術者を意味し、その行為や意図の善悪や合法性は問わなかった。
しかし、マスメディアなどを通じて一般に用語が普及する過程で、技術を悪用する者のことをハッカーと呼ぶ風潮が強まったため、古くからコンピュータやインターネットに携わる人々の中には、悪事を行う者はクラッカーと呼んでハッカーとは区別すべきであると主張する人も多い。
近年では、クラッカーに相当する悪事をはたらくハッカーを「ブラックハットハッカー」(black hat hacker)あるいは「ブラックハッカー」(black hacker)と呼び、技術を善用したりクラッカーに対抗してシステムを防衛するハッカーを「ホワイトハットハッカー」(white hat hacker)あるいは「ホワイトハッカー」(white hacker)と呼ぶこともある。