レガシーマイグレーション 【legacy migration】
概要
レガシーマイグレーション(legacy migration)とは、古い設計や仕様、製品に基づいて構築された情報システムを、新しい技術や製品をベースとしたものに置き換えること。特に、メインフレームやオフコンなどで運用されているシステムをWindowsやUNIX系OSによるシステムに入れ替えること。大企業や官公庁などを中心に、1960~90年代にメインフレーム(大型汎用機)やオフィスコンピュータなどで情報システムを導入し、改修しながら現代まで使用し続けている現場は数多くあり、「レガシーシステム」(legacy:遺産)と総称される。
こうしたシステムはハードウェアやOSが独自仕様の専用品で交換や修理、サポートが高コストだったり、型式が古く部品の入手が困難になっていたり、COBOLなど技術者の確保が年々難しくなる旧式の技術で構築されていたりといった問題を抱えていることが多い。
このような場合に、データや機能を維持したまま旧式のシステムから新しいシステムに移行・移転することをレガシーマイグレーションと言う。特に、仕様が標準化されたコンピュータ製品とUNIX系OSやWindows Serverなどを基盤に構築された、いわゆるオープンシステムへ移し替えることを指す場合が多い。
リホスト/リライト/リビルド
移行方法の違いにより、プログラム(のソースコード)を変更せずに再コンパイルなどで新環境に対応する「リホスト」、仕様や設計などを元に別のプログラミング言語で開発し直す「リライト」、仕様策定からやり直して全面的にシステムを再開発・再構築する「リビルド」あるいは「リエンジニアリング」などの手法がある。
リホストが最も手間やコストが掛からないが、古い環境の影響が最も強く残り、拡張性や新技術への対応、旧技術のエンジニアの確保などに難がある。リビルドは全面的な開発のやり直しで最も期間とコストを要するが、技術的には完全に刷新された近代的なシステムに置き換えることができる。リライトは両者の中間となる。現行システムの種類や製品によって適用できる手法は異なり、また、移行で重視する点によっても選択が変わる。
(2018.11.28更新)