ユビキタスコンピューティング 【ubiquitous computing】
概要
ユビキタスコンピューティング(ubiquitous computing)とは、生活や社会の至る所にコンピュータが存在し、コンピュータ同士が自律的に連携して動作することにより、人間の生活を強力にバックアップする情報環境。1990年代から2000年代前半頃まで使われていた語。1988年に米ゼロックス(Xerox)社のパロアルト研究所(PARC:Palo Alto Research Center)の主任研究員だったマーク・ワイザー(Mark Weiser)氏が、社会にコンピュータが溶け込み、いつでもどこでもその機能や能力を活用できるコンピュータの新しいあり方を提唱し、“ubiquitous computing” と名付けた。
コンピュータはその存在を意識させることなく、必要に応じてネットワークに蓄積された情報などを参照しながら、自動的に他のコンピュータと連携して処理を行う。身の回りや社会のありとあらゆるところにコンピュータが浸透し、人間の行動を補佐するイメージである。
日本では、1984年に東京大学助手(当時)の坂村健氏が新しいコンピュータの基本設計(アーキテクチャ)を構築する「TRONプロジェクト」を創始し、その目指す超分散型システムが実現する社会の姿を「どこでもコンピュータ」と表現した。概念的にはユビキタスコンピューティングとほぼ同様で、2000年頃からは氏も積極的に「ユビキタス」の語を用いている。
21世紀になり実際にインターネットやスマートフォンなどの形で社会や生活にコンピュータや通信ネットワークが浸透すると、次第に「ユビキタス」の語は使われなくなっていったが、その理想は「ウェアラブルデバイス」、「AR」(拡張現実感)、「IoT」(モノのインターネット)、「デジタルトランスフォーメーション」、「超スマート社会」など、より具体的、現実的な技術やコンセプトとして結実している。
(2025.3.4更新)
この記事を参照している文書など (外部サイト)
- 富山大学留学生センター紀要「留学生教育におけるITリテラシー支援の現状と課題
」(PDFファイル)にて引用 (2007年10月)