USB4 【Universal Serial Bus 4】
概要
USB4(Universal Serial Bus 4)とは、コンピュータと周辺機器などをケーブルで繋ぐ接続仕様の一つであるUSB規格の第4版。2019年に策定された「USB4 Version 1.0」は最高40Gbps(ギガビット毎秒、2022年に追加された「Version 2.0」は最高80Gbpsでの通信に対応する。コネクタ形状として楕円形のUSB Type-Cのみをサポートし、従来のUSB Type-AやUSB Type-B、ミニUSB、マイクロUSBはすべて非対応となった。給電方式としてUSB PD(USB Power Delivery)対応が必須となっており、最大240Wまでの機器を電源ケーブル不要で接続できる。
データ転送モードとしてUSB4独自仕様のほか、USB 3.2までの過去のUSB規格(一部はオプション)、DisplayPort(必須)、PCI Express(オプション)に対応する。USB Type-Cを標準コネクタとするThunderbolt 3およびThunderbolt 4との仕様の共通化が進んでおり、端子やケーブルがThunderboltおよびUSBのどのバージョンに対応しているのか注意が必要となる。
USB4初版(Version 1.0)の標準モードでは20Gbpsでの通信が可能で、誤り訂正符号によるロスがあるため実効速度は約2.4GB/s(ギガバイト毎秒)となる。オプションで40Gbpsのモードを利用でき、その場合の実効速度は約4.8GB/sとなる。
2022年に追加された「USB4 Version 2.0」では、新たに80Gbps(実効約9.6GB/s)の伝送モードが追加された。通信方向(例えばコンピュータ→周辺機器と、周辺機器→コンピュータ)によって異なる速度を用いる非対称モードを用いることで、一方を120Gbps(約14.4GB/s)、もう一方を40Gbps(約4.8GB/s)とすることができる。
名称をめぐる混乱
これまでのUSB規格は「USB 1.1」「USB 2.0」「USB 3.0」のように小数点付きのバージョン番号で識別され、USB 3.1およびUSB 3.2ではさらに「Gen1」「Gen2」という世代(generation)の区別があった。機器やケーブルが何に対応しているのか消費者に分かりにくい状況となっていた。
USB4では正式名称が「USB4」とされ、製品の表示上は「USB 20Gbps」「USB 40Gbps」「USB 80Gbps」など通信速度に基づくロゴと名称を用いるよう整理された。例えば、「USB4 Gen2×2」「USB 3.2 Gen 2×2」はいずれも通信速度20Gbpsだが、どちらも「USB 20Gbps」のロゴで表示される。
標準化団体のUSB-IFは、「USB4」が唯一の名称でありUSB 3.2までの名称の混乱は引き起こさないと約束していたが、2022年に第2世代の規格「USB4 Version 2.0」を策定し、2019年の初版は「USB4 Version 1.0」として区別すると発表したため批判を招いた。同団体ではこうしたバージョンの違いは製品表示等にはなるべく用いず、通信速度に基づくマーケティング名を使うことを推奨している。