PHP 【PHP : Hypertext Preprocessor】
概要
PHP(PHP : Hypertext Preprocessor)とは、Webサーバの機能を拡張し、動的にWebページを生成するために用いられるプログラミング言語の一つ。いわゆるスクリプト言語あるいは軽量言語(LL:Lightweight Language)の一つで、実行環境をWebサーバに組み込んで利用されることが多い。C言語やJava、Perlの影響を受けた記法や構文を採用した手続き型のプログラミング言語で、平易な仕様で学習しやすく、簡潔な記述でプログラムを開発することができる。
クラスを用いたオブジェクト指向や例外処理などに対応しているほか、標準で外部のデータベースシステム(DBMS)へ接続する機能が提供され、データベースと連携したWebアプリケーションを容易に開発することができる。
実行方式
大きな特徴の一つとして、HTMLファイルの雛形(テンプレート)の中に特殊な記法を用いてサーバ側で実行するプログラムコードを埋め込む形で記述することができる。
このファイルへのアクセス要求があると、WebサーバはPHP側のコードを実行し、実行結果を雛形のHTMLコード中の所定の場所に埋め込んで閲覧者へ送信する。このような仕組みはASP(Active Server Pages)/ASP.NETやJSP(Java Server Pages)などでも採用されている。
PHPの実行環境はWebサーバソフトの拡張モジュールなどとして組み込んで利用されるのが一般的で、CGI/FastCGIやサーバ固有のAPI(ISAPIなど)を通じて起動される。Apache HTTP ServerやMicrosoft Internet Information Services(IIS)など主要なWebサーバの多くに標準で対応しており、PHPで開発されたアプリケーションは様々な環境で同じように稼動させることができる。
フレームワークの利用
PHPによるWebアプリケーションの開発はゼロから独自に行われることもあるが、多くは「フレームワーク」と呼ばれる骨組みを用いて行われる。アプリケーションの基本的な骨格や雛形を汎用的な形にまとめたもので、少ないコード記述で迅速に開発を進めることができる。
多くのフレームワークがオープンソースとして公開されており、長年に渡り開発され続けている著名なものだけでも「Zend Framework」「Laravel」「CakePHP」「CodeIgniter」「Symfony」「FuelPHP」などの種類がある。
パッケージの利用
PHPで記述したプログラムをパッケージとして部品化したり、外部のパッケージを取り込んで利用する機能があり、インターネット上には世界中のボランティア開発者が公開している汎用的なパッケージを集積した「PEAR」(PHP Extension and Application Repository)と呼ばれるサイトが存在する。
標準の開発ツールにはPEARにアクセスしてパッケージを入手・導入するソフトウェアが添付されており、必要な機能を提供するパッケージを取り込んで自分のプログラムに組み込んで利用することができる。また、C言語で開発された拡張モジュールを公開している「PECL」(PHP Extension Community Library)というサービスもある。
歴史
PHPの最初のバージョンは1995年にラスマス・ラードフ(Rasmus Lerdorf)氏によって公開された。PHPという名称は「Personal Home Page Tools」の略とされたが、1998年のPHP 3.0からは「PHP: Hypertext Preprocessor」という表記が用いられている。
公式の処理系は米ゼンド・テクノロジーズ(Zend Technologies)社が開発している「Zend Engine」(ゼンドエンジン)で、オープンソースソフトウェアとして公開されており、誰でも自由に入手、利用、改変、再配布などすることができる。
関連用語
関連リンク (外部サイト)
他の辞典による解説 (外部サイト)
この記事を参照している文書など (外部サイト)
- 専修大学 大学院社会知性開発センター 言語・文化研究センター「ことばの普遍と変容」Vol.1「デジタルアーカイブのWeb公開に向けて -デジタルアーカイブに関連する各種情報技術の概観-」(PDFファイル)にて引用 (2006年3月)