デジタルネイティブ 【digital native】
概要
デジタルネイティブ(digital native)とは、子どもの頃から身の回りにコンピュータやインターネット、携帯電話などのデジタル環境が存在した世代のこと。成人後にこれらを受け入れた世代との対比で用いられる。明確な定義なく流行り言葉として消費される、いわゆる「バズワード」の一種であり、人によって定義や主張が大きく異なるが、日本では2008年にNHKの番組で紹介されたことをきっかけに広まり、インターネットの一般家庭への普及後に小中学生時代を過ごした1990年前後生まれ、およびそれ以降の世代を指すことが多い。
よく言及される特徴として、インターネットから無料で情報を得ることに慣れているため情報は無料である(べき)と考えがち、現実での人間関係とネット上でのそれを区別する感覚が希薄である(ネットで知り合うことに抵抗がない)、年齢や肩書による上下関係や立場の違いより親密さや距離感を重視する、文字情報より画像や映像を好む、といったものがある。分野や論者によって(デジタルとの関係が不明瞭な)一般的な世代論と一緒くたに論じられることも多く、特徴の描写は人によって大きく異なっている。
もとは米作家マーク・プレンスキー(Marc Prensky)氏が2001年の著書の中で、デジタル機器に囲まれた当時の大学生を指して “digital natives” 、その親や教員世代を後からデジタルを身につけた “digital immigrants” (デジタル入植者)と表現して対比してみせたのが始まりで、氏は具体的な数字を挙げなかったものの、概ね1980年生まれ以降のことを指していると解釈されている。
一方、少なくとも日本ではこの世代が本格的にデジタルに触れるのは高校卒業後あるいは社会人になってからが多数派(パソコンやインターネット接続の一般家庭普及率50%超えは2002年頃)とみられ、「デジタルで育った」とまでは言えないことから、1990年代前後のどこかで線を引く考え方が一般的になっている。
(2021.5.28更新)