VR 【Virtual Reality】 バーチャルリアリティ / 仮想現実 / 人工現実感
概要
VR(Virtual Reality)とは、人間の感覚器官に働きかけ、現実ではないが実質的に現実のように感じられる環境を人工的に作り出す技術。身体に装着する機器や、コンピュータにより合成した映像・音響などの効果により、3次元空間内に利用者の身体を投影し、空間への没入感(immersion)を生じさせる。空間内では移動や行動が可能で、利用者の動作に応じてリアルタイムに変化や応答が得られる対話性、双方向性(interactivity)を備えている。
感覚器へのフィードバック(sensory feedback)はディスプレイ装置やスピーカー、ヘッドフォンを用いた視聴覚へのものが主になるが、身体に密着する装置で接触や圧迫を行い触覚に働きかけたり、味覚や嗅覚へ人工的に働きかける技術の研究も進められている。
具体的な方式には様々なものが提唱されており、頭部に装着してすっぽりと視界を覆う「ヘッドマウントディスプレイ」(HMD:Head-Mount Display)を用いた手法が特に有名となっているほか、手を包み込んで動きを入力したり力学的なフィードバックを与える手袋型の「データグローブ」(data glove)などの方式が有望と考えられている。
日本語では “virtual reality” の訳語として「仮想現実」という語が定着しているが、「仮想」には「仮に想定した」「偽の」「実際には存在しない」といったニュアンスがある一方、“virtual” は「名目上は異なるが実質的には同じである」という意味であり、訳語として不適切であるとする指摘もある。
様々な人工現実感
狭義のVRは完全に人工的に生成した非現実の空間を用いるものを指すが、広義には現実の光景や音声、過去の映像などをコンピュータに取り込んで、人工的に生成した要素と組み合わせる方式も含まれる。
後者のうち、離れた場所の様子をVRによって再現し、その中に実際にいるような感覚を生じさせるシステムを「テレイグジステンス」(telexistence)あるいは「テレプレゼンス」(telepresence)という。眼前の光景に人工的に生成した映像や情報を付加するシステムを「拡張現実感」(AR:Augmented Reality)あるいは「複合現実感」(MR:Mixed Reality)などと呼ぶ。
近年では、(狭義の)VRやAR、MRなどを含む総称としての広義の人工現実感のことを「XR」(X Reality/Cross Reality/Extended Reality)と呼ぶことが多い。
また、フィクションに登場したり将来開発されることが期待される、現実と区別がつかないほど進歩したVRシステムのことは「アーティフィシャルリアリティ」(AR:Artificial Reality)あるいは「シミュレーテッドリアリティ」(Simulated Reality)などと呼ばれることもある。
関連用語
関連リンク (外部サイト)
他の辞典による解説 (外部サイト)
この記事を参照している文書など (外部サイト)
- 日本リハビリテーション医学会「The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine」59巻3号「Virtual reality(VR)を用いたリハビリテーション治療」(PDFファイル)にて引用 (2022年3月)
- 日本建築学会環境系論文集 87巻792号「大容量の環境設計3次元モデルをWeb ARで扱うためのサーバサイドレンダリング法」(PDFファイル)にて引用 (2022年2月)
- 日本弁理士会 月刊パテントVol.74 No.8「AR/MR関連出願で使用されるクレーム表現の考察」(PDFファイル)にて引用 (2021年8月)
- 日本建築学会環境系論文集 85巻776号「複合現実による防災行政無線放送シミュレーション可視化システムの開発」(PDFファイル)にて引用 (2020年10月)
- 富山県氷見市「第9次氷見市総合計画策定に係る基礎調査結果 報告書」(PDFファイル)にて引用 (2020年8月)
- 鹿児島国際大学「ミュージアム調査研究報告」第15号「博物館活動におけるアウトリーチ」(PDFファイル)にて引用 (2018年3月)
- 日本アクチュアリー会「最新ITと異業種コラボレーションによるニュービジネスの創出」(PDFファイル)にて引用 (2017年)