異体字 【異体文字】 ideographic variation

概要

異体字(異体文字)とは、読みや意味、用法などに違いはないが、字体の異なる文字の組。また、そのうち、正字体とされる字(正字)とは異なる字体を持つ字のこと。正字ではない方も文字のことは俗字とも言う。

「涙」と「泪」、「峰」と「峯」、「一」と「弌」、「淵」と「渕」など、音や字義が同じでほとんどの場合に交換可能なものが異体字とされる。異体字関係にある文字の組み合わせは国や地域、時代により異なり、過去に異なる文字だったものが同じ読み、意味となって異体字となった例や、逆に、もともと異体字同士だったものが意味が分かれて別々の文字となった例もある。

異体字は様々な歴史的経緯により生じ、中には誤記や表記の揺れが定着したものもある。また、現代日本では戦後に定められた新字体(当用漢字・常用漢字)と同字で字体の異なる文字が異体字とされ、「学」に対する「學」のように、いわゆる旧字体の多くがこれに含まれる。

文字コードとして広く普及しているUnicodeユニコード)では、同じ文字として一つのコードにまとめられた異体字を識別するために「異体字セレクタ」(variation selector)と呼ばれる符号化方式が規定されている。SVS(Standardized Variation Sequence)とIVS(Ideographic Variation Sequence)の二方式があり、日本語の漢字の異体字は主に後者で取り扱われている。

(2020.7.2更新)

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この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
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