ヒープソート 【heap sort】
概要
ヒープソート(heap sort)とは、与えられたデータ列を大小などの順序通りになるよう並べ替えるソート(整列)アルゴリズムの一つで、ヒープ構造と呼ばれる二分木の一種を構築して並べ替えを行うもの。数値の列を先頭から小さい順(昇順)に並べる場合を考える。データ構造の一種である木構造(ツリー)を用意し、未整列のデータを一つずつ取り出して登録していく。親ノードは最大で2つまでの子ノードを持ち(二分木)、親ノードがいずれの子ノードよりも小さく(あるいは大きく)なるように調整しながら追加していく。
このような制約を設けた木構造を「二分ヒープ木」あるいは「ヒープ構造」という。すべてのデータを登録すると、根ノードは全体の中で最も小さいデータとなる。これを取り出して整列済み配列の先頭に入れる。
子ノードのうち、小さいノードを根ノードに移し、その子孫のノードも同様に再構成する。新しい根ノードは残りのデータのうち最も小さいため、これを取り出して整列済み配列に追加する。以下同様に、ヒープ構造からデータがなくなるまで同じ操作を繰り返す。
ヒープ構造は木構造用の制御データを用意しなくても配列内部で表現可能なため、実装上は未整列のデータ列を徐々にヒープ構造に置き換えていき、木が完成したら今度は徐々に整列済みデータ列に置き換えていく。
外部に操作用の記憶領域を用意しなくてよいインプレースソート(内部ソート)で、同じ大きさの要素の順序の維持は保証されない不安定ソートである。平均計算量が O(nlogn) と最も速いソート法の一つで、元のデータ順の影響も受けにくいが、実際にはクイックソートの方が高速になるとされる。
(2024.3.7更新)