DLSS 【Deep Learning Super Sampling】
概要
DLSS(Deep Learning Super Sampling)とは、米NVIDIA社が提供している動画像の超解像技術。3Dグラフィックスを低解像度でレンダリングし、引き伸ばして広い画面に出力することにより、画質とフレームレートを両立できる。同社のGeForce RTXシリーズのGPUを搭載したビデオカードで利用できる。3DCGを多用したゲームなどをプレイする際、画素数の多い大画面のディスプレイに合わせて描画を行うと画質は高まるが、処理の負荷が増大するため動画としてのフレームレート(1秒あたりの画面書き換え回数)は低下するというジレンマがある。
これを緩和するのが動画の解像度を向上させる超解像技術で、低い解像度で描画処理を行い、できた画像を画面サイズに合わせて拡大する。単純に拡大処理を行うと画質が下がるため、補間処理を行って滑らかに引き伸ばす。これにより、低解像度で高フレームレートを維持したまま、大画面に合わせて表示することができる。
DLSSでは拡大倍率に応じて「Quality」「Balanced」「Performance」「Ultra Performance」の4段階の出力モードが設けられている。最も低画質・高フレームレートのUltra Performanceモードでは画面サイズの1/3の解像度(ディスプレイが4K解像度であれば1280×720相当)で描画を行う。高画質なほど倍率が低く、描画処理は重くなる。
DLSSはその名の通り人工知能の機械学習の一種である「深層学習」(ディープラーニング)を応用しており、様々なゲーム画面のサンプルを学習データとして同社のシステムで処理した学習済みモデルを搭載している。これを同社製GPUの高性能モデルの搭載する「Tensorコア」回路を用いて高速に処理することで高精細な画像を得ることができる。
NVIDIA社のGPU分野におけるライバルである米AMD社では似た超解像技術として「AMD FidelityFX Super Resolution」(FSR)を提供している。こちらはソフトウェアベースでNVIDIA製品でも利用できるが、DLSSはNVIDIA製GPUにしかない回路を活用した機能であるため他社製品では利用できない。