読み方 : いんせんしょり
隠線処理【hidden line removal】隠線消去/隠線除去
概要
隠線処理とは、3次元グラフィックスにおいて、視点から見て他の面の背後に隠れる辺を判定し、画面上に描画しないようにする処理。

立体を頂点と辺だけで表現して描画すると、すべての稜線がそのまま表示され、建物の骨組みのような「ワイヤーフレーム」(wireframe)表示になる。この状態では形状の把握は可能であるが、奥行き関係に基づく遮蔽が反映されないため、実際に見える外形とは異なる表示となる。
隠線処理では、不透明な面の情報を用いて、視点方向から見たときに手前の面によって隠される辺を判定する。面の位置関係や法線ベクトル、投影後の奥行き情報などを組み合わせ、可視性を計算することで、見えない線分を描画対象から除外する。
処理の実現方法には複数の手法があり、境界の最大最小値を用いる「最大最小法」、面の向きから可視性を判断する「法線ベクトル法」、隣接する面構造をたどる「稜線探索法」、奥行き計算と描画順序を利用する「塗り重ね法」などが知られる。
隠線処理と同じ発想で、隠れた面を描画しないようにする処理を「隠面処理」(hidden-surface determination)という。これは辺ではなく面を対象として、視点から見えない面を描画しないようにする処理である。レンダリングでは、隠線処理と隠面処理が組み合わされ、形状表現の目的や用途に応じて使い分けられる。
主な利用分野は3D CADで、設計段階のモデルを立体図として確認する際に用いられる。投影図や透視図において、不要な稜線を除去することで形状理解が容易になる。表示処理はレンダリングパイプラインの一部として実装され、幾何変換やクリッピング、ラスタライズと連携しながら可視性判定が行われる。
(2026.6.19更新)