メタボール【metaball】
概要

通常の3Dモデルでは物体の表面を多角形ポリゴンの集合として表現することが多いが、メタボールでは異なるアプローチをとる。素材となる各球体は明確な半径や境界を持たず、中心からの距離に応じて値が変化する密度の分布関数として定義される。密度は中心部で最も高く、外側に向かうにつれて徐々に低下する。ガス惑星のように輪郭が曖昧で、中心ほど濃密な場として捉えると理解しやすい。
複数のメタボールを空間上で近くに配置すると、それぞれの密度分布が重なり合い、球体間の空間でも密度が高まる領域が生じる。ここで密度がある閾値に等しい点の集合を面として定義すると、複数の球体が滑らかな曲面で繋がった一体の立体図形が構成される。この面は「陰関数曲面」あるいは「等値面」と呼ばれる。閾値の設定や球体同士の距離を変えることで、融合の度合いや形状を制御できる。
メタボールは1980年代に提案された手法で、水滴や溶岩、粘土、生物の体組織など、柔らかく変形する物体の表現に用いられてきた。物体が融合したり分離したりする様子を自然に表現できるため、CGアニメーションや映像制作での利用が多い。近年ではゲームエンジンにおいて、パーティクルの配置をもとにメタボールのアルゴリズムを適用してリアルタイムに流体の水面を構築する手法としても定着している。2次元上での類似手法では、球体の代わりに円が用いられ、輪郭線として曲線が定義される。
多くの3DCGソフトウェアがメタボールをプリミティブ(基本立体形状)の一種として標準搭載している。作成した形状は必要に応じてポリゴンメッシュへ変換でき、他のモデリング手法と組み合わせて編集することも可能である。計算量の多さが課題とされてきたが、ハードウェアの性能向上や計算アルゴリズムの最適化により、動的な形状変化を伴う表現への応用が進んでいる。