バンプマッピング【bump mapping】
概要
バンプマッピングとは、3次元コンピュータグラフィックス(3DCG)において、物体の形状データを変更せずに、表面に細かな凹凸があるかのような陰影を表現する手法である。岩肌のざらつきや木目の溝といった質感を、少ない計算量で再現するために用いられる。

3DCGでは通常、物体の形状をポリゴンと呼ばれる多角形の集まりで表現する。ポリゴン数を増やせば微細な凹凸まで正確に再現できるが、形状が複雑になるほど描画に必要な計算量が増大し、処理速度が低下する。バンプマッピングはこの問題を緩和するために考案された。
この手法では、ポリゴン表面に「高さマップ」(ハイトマップ)と呼ばれる各位置の凹凸情報を記録した面的なデータを重ね合わせる。レンダリング時には、高さマップを基に光の反射角度を決める法線ベクトル(面の向き)を仮想的に変化させ、実際には平らなポリゴン表面に明暗のコントラストを生じさせる。出来上がった画像は、その箇所が凹んだり膨らんだりしているように見える。
あくまで描画時の陰影処理によって凹凸を擬似的に表現しているため、物体の輪郭そのものは元の平らなポリゴンのままである。物体を真横から見た場合、輪郭に凹凸は現れず直線的に見える。また、凹凸によって生じるはずの自己遮蔽(他の部分に落ちる影)も表現できない。凹凸の度合いを過度に大きく設定すると、陰影上は立体に見えながら輪郭は明らかに平坦であるという不自然な結果となる。
関連技術として、法線情報をより直接的に扱う「ノーマルマッピング」(法線マッピング)がある。高さマップから法線を算出するバンプマッピングとは異なり、あらかじめ計算された法線データをそのまま参照するため、より精密な陰影制御が可能である。また、「ディスプレイスメントマッピング」では、レンダリング時に実際のジオメトリ(頂点座標)を変位させるため、シルエットまで正確に変化する。バンプマッピングはこれらの発展的な手法の基礎となる技術であり、リアルタイムグラフィックスの初期からGPUのシェーディングパイプラインの発展と共に普及してきた。
(2026.6.24更新)