不良セクタ 【bad sector】
概要
不良セクタ(bad sector)とは、円盤(ディスク)状の記憶媒体のうち、物理的な損耗によりデータの読み書きが正常に行えなくなったセクタのこと。すでに記録済みだったデータがある場合は読み出せなくなり喪失する。セクタはディスクの読み書きを行う最小単位となる区画で、通常数百バイト~数キロバイト程度(512バイトがよく用いられる)の小さな領域である。ディスク表面に傷や摩耗、磁性体の状態の劣化などが生じるとその箇所へのデータの読み書きができなくなるが、管理を容易にするため損傷箇所を含むセクタを不良セクタとして登録し、以降はアクセス時に自動的にスキップされる。
不良セクタがすでに使用されておりデータが記録されていた場合はそのセクタのデータは失われるが、何の記録に利用されていたかによりどのような影響が生じるかは大きく異なる。OSを構成するファイルなど他の媒体から複製してきたものであれば元のファイルを(健全なセクタに)コピーしなおして復活させられることもあるが、利用者の作成したデータファイルでバックアップを取っていないものなど、そこにしかなかったものは永久に失われてしまう。
発見された不良セクタは通常の方法ではアクセスできなくなるが、特殊な機材やソフトウェアなどを用いて内容の読み取りを試みることはできる。その場合、セクタ内の実際の損傷箇所の前後のデータは取り出すことを期待でき、破損の原因や状態次第では破損箇所のデータを取り出すことができる場合もある。
ハードディスクの中には、あらかじめ予備のセクタを用意しておき、不良セクタが生じると自動的にその代替として振る舞うよう設定する管理機能を持つものもある。この過程を不良セクタの修復(あるいは回復、復旧)などと表現している場合もあるが、実際には不良セクタそのものを以前の状態に戻しているわけではない。
(2018.4.2更新)