シリンダ【cylinder】シリンダー
概要

磁気ディスクは円盤状の「プラッタ」(platter)を複数枚重ねた構造を持ち、各面には中心から同心円状に「トラック」(track)と呼ばれる記録領域が配置されている。各プラッタの同じ半径にあるトラックを上下方向に束ねてとらえると、円盤を貫く筒のような形状となる。この仮想的な円筒を「シリンダ」と呼ぶ。
複数のプラッタに対して磁気ヘッドがそれぞれ対応しており、これらのヘッドは共通のアームに固定されて同時に半径方向へ移動する。アームをある半径位置に移動すると、すべての記録面で同一半径にあるトラックに対して切り替えのみでアクセスできる状態となる。ヘッドを移動させずに別の面のトラックへ順に読み書きできるため、機械的な移動を伴う時間を抑えた連続アクセスの単位として扱われてきた。
初期のディスク装置では、データの位置をシリンダ番号、ヘッド番号、セクタ番号の組み合わせで指定する「CHS方式」が採用されていた。まず、シリンダで半径方向の位置を定め、次にヘッドで記録面を選び、最後にセクタでトラック内の位置を示す方法である。これはディスクの物理構造に基づくアドレス指定であり、BIOSや低レベルのディスク管理で利用された。
ディスク容量の増大や内部配置の最適化が進むと、論理ブロック番号で管理する「LBA」(Logical Block Addressing)方式が主流となり、利用者がシリンダを直接意識する場面は少なくなったが、磁気ディスクの構造やアクセス特性を説明する際には現在も用いられる概念である。
(2026.4.9更新)