垂直磁気記録方式 【PMR】 Perpendicular Magnetic Recording
概要
垂直磁気記録方式(PMR)とは、磁気記憶媒体の記録方式の一つで、媒体表面の磁性層を磁化する際に、磁界が記録面に対して垂直になるよう制御する方式。1977年に東北大学の岩崎俊一教授が提唱した方式で、2005年に東芝が初めてハードディスクで実用化したことで注目を集めた。磁気テープや磁気ディスクなど媒体表面の磁性体を磁化して信号を記録する装置は、記録面に平行な方向に磁化する水平磁気記録方式(面内磁気記録方式)が最初に実用化された。この方式は記録密度が高まると「熱揺らぎ」現象などの問題に悩まされるようになり、微細化の限界が指摘されるようになった。
垂直磁気記録方式は面の深さ方向に磁化する方式で、記録面に厚みを持たせれば媒体表面で磁区を狭めていっても磁区の長さを確保でき、隣接する磁区間の干渉も水平方向より小さい。1980年代に磁気テープで実用化されたもののなかなか主流の技術とはならなかったが、2005年にようやくハードディスクでの実用化にこぎつけ、水平記録からの移行が進んでいる。
水平磁気記録方式 (面内磁気記録方式/LMR:Longitudinal Magnetic Recording)
磁気記憶媒体の記録方式の一つで、媒体表面の磁性層を磁化する際に、磁界が記録面に対して水平になるよう制御する方式。最初に実用化され、長年に渡り標準的に用いられてきた。
磁性体を塗布した薄い記録層に電磁石を近づけて微細な領域(磁区)ごとに磁化する方向を制御して信号を記録するもので、原理や装置が単純なため垂直磁気記録が発明されるまではすべてこの方式だった。
記録密度を高めて磁区が小さくなると、磁区の内部で生じる反磁界や隣接する磁区との反発などの影響が無視できなくなり、常温でも磁化の方向が不安定になったり消失したりする「熱揺らぎ」現象が生じるようになった。
(2018.11.29更新)