読み方 : じんてきしほんけいえい

人的資本経営【HCM】Human Capital Management

概要

人的資本経営とは、人材を消費すべき「コスト」ではなく、投資によって価値が伸びる「資本」として捉える経営手法。従業員の持てる力を最大限に引き出し、中長期的な企業価値の向上につなげることを目的とする。
人的資本経営のイメージ画像

これまでの経営において、人件費はあくまで抑えるべき「経費」として管理されがちであった。しかし、技術革新や産業構造の変化が激しい現代において、企業の競争力の源泉は、工場や設備などの有形資産から、アイデアやノウハウを生み出す人材という無形資産へと移行している。

この変化に対応するため、人材を資本と位置付け、適切な投資を行って価値を維持、向上していく人的資本経営の考え方が生まれた。従業員に対するリスキリング(学び直し)や多様な働き方の推進を通じて、個人の能力やエンゲージメント(愛社精神や貢献意欲)を高めることが不可欠となっている。

また、投資家などのステークホルダー利害関係者)も、企業の持続可能性を評価する上で、財務指標だけでなく人的資本の情報を重視し始めている。これに伴い、企業には女性管理職比率や男性育休取得率、人材育成の方針などを具体的に開示することが求められるようになった。

こうした背景から、人的資本経営は単なる人事施策の延長ではなく、経営戦略と人材戦略を連動させた、経営陣が主導すべき最重要課題の一つと捉える動きもある。従業員の成長が企業の成長をもたらし、その成果が再び従業員へ還元される好循環を作ることが、これからの企業存続、持続的な成長の鍵になるとする考え方である。

(2025.11.22更新)