読み方 : パーパスけいえい
パーパス経営【purpose-driven business】
概要
パーパス経営とは、企業が社会において何のために存在するのかという「存在意義」を明確に掲げ、それをあらゆる企業活動の軸に据える経営手法。単なる利益の追求を超え、事業を通じて社会課題の解決や社会への貢献を目指す点に特徴がある。

近年、気候変動や経済格差といった地球規模の課題が深刻化し、これまでより企業活動へ厳しい視線が集まる中で、企業には株主利益の最大化だけでなく、環境や社会全体を含めた多様なステークホルダー(利害関係者)への貢献が求められるようになった。
こうした社会背景や、SDGs(持続可能な開発目標)への関心の高まりが、「パーパス」(purpose:存在意義、存在理由)を根源とする経営の普及を後押ししている。従来の「ミッション」や「ビジョン」が「自社が将来どうなりたいか」という自社起点の視点になりがちだったのに対し、パーパスは「社会において自社がどう役立つか」という社会起点の視点を重視する傾向が強い。
パーパス経営の実践は、組織の求心力を高める効果があるとされる。企業の存在意義が明確になることで、従業員は自身の業務が社会にどう貢献しているかを実感しやすくなり、エンゲージメント(愛社精神や貢献意欲)の向上が期待できるからだ。
また、商品やサービスを選ぶ際に企業の社会的姿勢を重視する消費者が増えているため、ブランディングや競争優位性の観点からも有効だと考えられている。ただし、掲げたパーパスが実態を伴わない場合は「パーパス・ウォッシュ」(うわべだけ、言行不一致)と批判されるリスクもあり、事業活動との整合性が重要である。
(2025.11.22更新)