読み方 : てきごうりつ

適合率【precision】

概要

適合率とは、検査や予測の精度を示す指標の一つで、正と予想した例の中で実際に正だった例の比率。正の予想が正解だった率を示している。機械学習モデルの予測性能の検証にも用いられる。

検査や予測では、感染の有無、品質の合格・不合格のように、対象を「Xである」「Xではない」のいずれかに分類することがよく行われる。これと、「実際にXであったかどうか」を組み合わせ、4つの状態が考えられる。

「Xであると予想して、実際Xだった」例を「真陽性」(TP:True Positive)、「Xではないと予想して、実際にXではなかった」例を「真陰性」(TNTrue Negative)、「Xと予想したが、Xではなかった」例を「偽陽性」(FP:False Positive)、「Xではないと予想したが、Xだった」例を「偽陰性」(FN:False Negative)という。

適合率の性質

適合率は、予想が陽性だった例の中で、実際に陽性だった例の比率を表す。真陽性の数を、真陽性偽陽性の数の和で割って求める。例えば、100例のうち陽性と予想した例が10あり、そのうち真陽性が1例、偽陽性が9例であれば、適合率は 1÷(1+9)=0.1 で10%となる。

適合率は、陽性を全例正解できれば1となり、すべて不正解ならば0になる。全例の中で陰性がいくつあっても適合率には影響しない。大半の例が実際には陰性で、陽性が極少数であるような検査など、陽性の例を正しく見抜けることが重要な場合に重視される指標である。

他の指標

予想の精度を表す指標は他にもあり、データの性質に応じて他の指標を用いたり、適合率と併用することがある。例えば、全例の中で予想が正解だった例の割合は「正解率」(accuracy)という。また、実際に陽性だった例の中で、正しく陽性と予想できた例の割合を「再現率」(recall)と呼び、真陽性を、真陽性偽陰性の和で割る。

(2025.11.16更新)