PostScript 【ポストスクリプト】 PS
概要
PostScript(ポストスクリプト)とは、米アドビ(Adobe)社が開発したページ記述言語の一つ。高解像度でも美しく印刷できるデータを少ないデータ量で表現でき、DTP業務に用いるプリンタやソフトウェアなどを中心に普及した。PostScriptでは文字や図形、それらの属性やページ内での位置などを記述することができる。一種のプログラミング言語となっており、文字や図形などを描画する命令文を列挙する形で印刷データを記述する。
PostScriptデータの印刷に対応したプリンタ(PostScriptプリンタ/PSプリンタ)は、この命令文を内蔵されたコンピュータ(RIP:Raster Image Processor)で解釈し、縦横に規則正しく並んだ微細な画素の集合(ラスターデータ/ビットマップデータ)に変換(ラスタライズ)して、印字装置で紙面に印刷する。
パソコンなど汎用のコンピュータで動作するソフトウェアとして実装されたRIPもあり、これを用いればPostScriptデータをパソコン側でラスター形式に変換し、(PostScript非対応の)プリンタで印刷することができる。
文字はフォント(書体)や大きさ、字飾り、変形などを指定することができ、図形は直線や円のほか、ベジェ曲線を利用した自由曲線を表現することができる。これらは主要な点の座標やそれらを結ぶ曲線の方程式のパラメータなどの集合である「ベクターデータ」(ベクター形式)で表現される。
ベクターデータは拡大・縮小しても品質が劣化することなく、出力装置の最大解像度での精細な出力が可能となっている。また、外部のビットマップ形式の画像を参照し、所定の位置に埋め込んで他の図形と一緒に印刷することもできる(これはベクター形式ではないため拡大すると劣化する)。
現在では「PostScript Level 1」と呼ばれる最初のバージョンは1985年に登場し、米アップル(Apple)社のレーザープリンタなどに採用されたことをきっかけに印刷・DTP業界などで広く普及した。1990年にはカラー印刷や日本語などの2バイト言語に対応した「Level 2」が、1996年にはPDF形式への対応などを追加した「PostScript 3」が発表された。
PostScriptには派生仕様がいくつかある。PostScriptの仕組みを画面出力に応用した「Display PostScript」や、PostScriptを元にしたベクター形式の画像ファイル形式「EPS」(Encapsulated PostScript、カプセル化PostScript)、フォントの字形の定義に応用した「PostScriptフォント」などである。
関連用語
関連リンク (外部サイト)
他の辞典による解説 (外部サイト)
- ウィキペディア 「Postscript」
- Insider's Computer Dictionary 「PostScript」
- モリサワ フォント用語集 「PostScript」
- 吉田印刷所 DTP・印刷用語集 「PostScript」
- TechTerms.com (英語) 「PostScript」
- Computer Hope (英語) 「PostScript」
- PC.net Computer Glossary (英語) 「PostScript」
- WhatIs.com (英語) 「Postscript」
- Techopedia (英語) 「PostScript」
- PC Magazine (英語) 「PostScript」
この記事を参照している文書など (外部サイト)
- 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(AFFRC) 農業環境研究部門 研究資料「夏季の高温指標に関する画像データ提供」にて参照 (2021年7月以前)