読み方 : とっきょほう

特許法【patent act】

概要

特許法とは、高度な技術的創作である発明を保護し、考案者に一定期間独占的に実施できる権利を与える法律。発明の公開と独占権付与を交換条件とすることで、知的財産権の保護と産業の発展のバランスを取る。
特許法のイメージ画像

特許法が対象とする発明は「自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のもの」と定義され、機械などのモノ、モノの作り方、何かを行う方法などが含まれる。特許を受けるためには新規性進歩性、産業上の利用可能性といった要件を満たす必要があり、これらの審査を経て特許庁が「特許権」を付与する。

権利期間は原則として出願から20年とされ、医薬品や農薬など製造・販売に許認可を伴う一部の分野では特例で最長5年の延長が認められる場合がある。特許権者は権利期間の間、発明を独占的に実施でき、他者が無断で製造や販売などを行うことを制限することができる。他者が無断で特許を実施した場合には特許権侵害となり、差止請求や損害賠償請求を行うことができる。

出願内容は公開制度により公表されるため、特許化された技術の詳細は誰でも知ることができる。特許制度は独占権を認めて発明を奨励するだけでなく、技術の研究・開発の成果を早期に社会へ還元する役割も果たしている。このため、企業などでどうしても外部に知られたくない発明は、あえて特許を出願せずに企業秘密とする場合もある。

発明者として登録できるのは発明した本人(自然人)のみだが、特許権を行使する特許権者は法人でもよい。企業などが職務として研究者に発明を行わせることを「職務発明」と言い、発明者は研究者本人、特許権者(出願人)は企業となる。その場合、企業は発明者に特許がもたらす収益などから算定した「相当の対価」を支払う必要があると定めている。

(2025.12.2更新)

資格試験などの「特許法」の出題履歴

▼ ITパスポート試験
令2秋 問16】 新製品の開発に当たって生み出される様々な成果 a~c のうち、特許法による保護の対象となり得るものだけを全て挙げたものはどれか。
平25春 問11】 インターネットを利用した新たなビジネスモデルを保護する法律はどれか。
平24秋 問9】 インターネットを利用した企業広告に関する新たなビジネスモデルを考案し、コンピュータシステムとして実現した。この考案したビジネスモデルを知的財産として、法的に保護するものはどれか。
平22春 問7】 コンピュータを活用した新しいビジネスモデルを構築した。このビジネスモデルを保護する法律はどれか。
▼ 基本情報技術者試験
令7修7 問60】 特許法によれば,企業が雇用している従業者が行った職務発明に基づく特許の取扱いのうち,適切なものはどれか。
平25修1 問77】 特許法による保護の対象となるものはどれか。
平23春 問79】 特許法による保護の対象となるものはどれか。
この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
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