読み方 : そうさくせい
創作性【creativity】
概要
創作性とは、著作物が法的保護を受けるために必要な独自性や個性、工夫のこと。高度な芸術性や新規性は不要であり、他人の模倣や誰が作っても同じになるような定型的な表現ではなく、作者自らの思考や感情が反映されていれば認められる。
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日本の著作権法では、保護の対象となる著作物について、以下の4つの条件を満たす表現と解釈される。思想または感情を含むこと、創作したものであること、表現したものであること、文芸、学術、美術または音楽の範囲に属するものであること、の4つである。創作性は、このうちの「創作したものであること」の要件に対応する概念である。
創作性とは
一般的に「創作」という言葉からは、優れた芸術作品や、誰も思いつかなかったような独創的なアイデアを連想するかもしれないが、著作権法が求める創作性とは、模倣や定型ではない作者独自の表現になっていることである。他との比較における優位性などは考慮せず、特許法における「新規性」などと比較すると緩やかに解釈される。
例えば、幼児が描いた絵や、プロではない者が書いた文章であっても、そこに作成者の個性がわずかでも発揮されていれば要件を満たすとされる。技術的な巧拙は問われないため、上手か下手かという評価は創作性の有無に影響しない。題材がありふれていて凡庸である、目新しさが無いといった点も無関係である。
創作性が認められない例
一方で、極めて短い説明文や、独自性のない、ありふれた紋切り型の表現、誰が作っても同じになるような形式的な文章などには創作性は認められない。事実の伝達のみを目的とした定型的な文章や、単なるデータの羅列なども、個性が発揮される余地が少ないため、原則として著作物には該当しないと判断される。
ただし、事実やデータそのものには著作権がなくとも、その情報の「選択」や「配列」に工夫や独自性が見られる場合には、データなどを実際に書き表した表現物について、「編集著作物」や「データベースの著作物」として別途、創作性が認められる可能性がある。
(2025.11.25更新)