読み方 : しょくむはつめい
職務発明【employee invention】
概要
職務発明とは、従業員が勤務先での職務に関連して生み出した発明。特許法では、企業と従業員との権利関係を調整するために特別な規定が設けられている。

職務発明は、従業員が担当する業務や研究開発活動の一環として創作した発明である。これがが成立するためには、従業員の発明であること、使用者(会社など)の業務範囲に属すること、その従業員の現在の職務に属することの三つの要件を満たす必要がある。
例えば、自動車メーカーのエンジニアが、業務として割り当てられたエンジン開発の最中に新しい燃焼制御技術を発明した場合、これは職務発明に該当する。一方、同じエンジニアが、個人的な趣味で自宅のベランダで使う新しいプランターの構造を発明したとしても、それは会社の業務範囲外であり、職務発明にはならない。
職務発明が完成した場合、特許を受ける権利は原始的にはそれを創作した発明者本人(従業員)に帰属する。しかし、特許法では、あらかじめ契約や就業規則で定めることにより、会社がその特許を受ける権利を承継する(譲り受ける)こと、または、特許権が成立した場合には会社が専用実施権(独占的な利用権)を設定することができると定めている。
会社がこれらの権利を承継または設定した場合、従業員である発明者は、会社に対してその対価として「相当の利益」を受ける権利を持つと定められている。この利益の額や提供方法については、発明の重要性、会社の利益への貢献度、研究開発への寄与度などを考慮して決定する必要がある。新たな製品ジャンルを確立するほど成功した職務発明の中には、利益の分配を巡って発明者と会社の間で法的紛争となった事例もある。
(2025.11.25更新)
「職務発明」の関連用語
資格試験などの「職務発明」の出題履歴
▼ 基本情報技術者試験
【令7修7 問60】 特許法によれば,企業が雇用している従業者が行った職務発明に基づく特許の取扱いのうち,適切なものはどれか。