読み方 : イーオーエムピーエルエス

EoMPLS【Ethernet over MPLS】

概要

EoMPLSとは、MPLS網上でイーサネットフレームを透過的に送受信し、離れた拠点間をレイヤ2で接続する技術。通信事業者の広域イーサネットサービスや法人向けVPNサービスで利用される。2006年にIETFによってRFC 4448として標準化された。
EoMPLSのイメージ画像

MPLS(Multi-Protocol Label Switching)は、ネットワーク内のパケットに「ラベル」(label)と呼ばれる短い符号を付与し、そのラベルを参照して転送処理を行う技術である。宛先アドレスを参照しながら経路を決定する従来のIPルーティングに比べて高速かつ柔軟な経路制御が可能であり、通信事業者のバックボーン網やIP-VPNサービスに採用されている。

一般的なMPLS VPNは顧客拠点間をレイヤ3で接続し、ルータ間でIPパケットを中継するが、EoMPLSでは「疑似回線」(pseudowire)と呼ばれる技術を使い、イーサネットフレーム全体をMPLS網上でカプセル化して転送する。顧客側のイーサネット回線を事業者網内で仮想的に延長する形となる。

各拠点のネットワークスイッチ間を直接繋いだ状態になるため、利用者からは遠隔地の拠点が同一のイーサネットLANに接続されているように見える。IPアドレスの体系やルーティング設定を意識せずに別拠点のサーバや機器を利用できるほか、IP以外のプロトコルやVLANを含む構成もそのまま維持したまま拠点間接続を行える。

サーバの移設やネットワーク統合の際にIPアドレス体系を変更せずに済む場合があり、ストレージ間のデータ複製や仮想化基盤のライブマイグレーションなど、同一ネットワークセグメントの延伸を前提とする用途でも利用される。ただし、ブロードキャストフレームや障害の影響範囲が広域に及ぶ可能性があり、大規模なネットワークでは適切な設計と運用が求められる。

通信事業者にとっては、既存のMPLS網を流用して広域イーサネットサービスを構築できる利点がある。新たに専用線網を整備せずに済み、MPLSが備える帯域保証やトラフィック制御の仕組みをイーサネットにも適用できる。なお、現在ではEoMPLSに代わり、より汎用的なL2VPN/L3VPN技術である「VPLS」(Virtual Private LAN Service)や「EVPN」(Ethernet VPN)が用いられることが多い。

(2026.6.20更新)
 
この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
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